帝国データバンク横浜支店は21日、中華料理店の運営会社「聘珍樓」(へいちんろう、横浜市港北区)が裁判所の破産手続き開始決定を受けたと発表した。負債総額は令和6年3月期末時点で関係会社と合わせ32億3800万円。


聘珍樓は、中華街の入り口にデンと店を構え中華街を代表する店だった。1990年代、「炎の料理人」として人気を集めた周富徳さん=写真右=が総料理長を務めたことでも知られた。
倒産の原因にコロナ禍や最近の若い人の味の好みの変化などが挙げられているようだが、ブログ子が断言するところでは身の丈を忘れた、やたら高い料金が見放されたのである。
ブログ子は30年以上前になるが新聞社の横浜総局長をしていた時期があり、聘珍楼には10数回行ったことがある。自分の家族連れは1割ほどであとは横浜、神奈川の行政の長とか企業のトップで自腹出なかったから料金のほどはわからなかったが、家族連れの時にレシートを見て高い、と実感した。その時から「この店は味より値段が勝っている」と思っていた。

代わって通い詰めたのは、件の周富徳と周富輝兄弟がやっていた馬車道の『生香園』だった。横浜総局から歩いて4,5分のところにあり、何を食べても実に美味しかった。二人がテレビで売り出す前のことで、兄の方は時々だが、弟の周富輝=写真右=は毎日店に顔を出していて、自然と口をきくようになった。気が乗ると店には出していない裏メニューで即席で作ってくれることもあった。名前は思い出せないが今でももう一度注文したいものだと思うほどだ。
チャーハンでその店のレベルがわかる、とか日本の「酢豚」は中国の「豚の角煮」で全く違うなど教わった。

二人してテレビに出ずっぱりになって会うことはなくなったが、次に消息を聞いたのは、2001年に法人税を脱税(約4,700万円)して、懲役1年執行猶予3年、罰金1,000万円の有罪判決を受けたときだった。『生香園』に通っていた時は多くの店はレジスターだったが、ここだけはいつまでたっても手書きの領収書にゴム印だったから、当時から「抜いてるな」とは思っていたが、食い物屋の中国人に良心を求めるのは、八百屋で魚を求めるようなものだから、別段の思いはなかった。
しかし、これを報じた日本テレビ系のレポーターに直撃取材を受けた際に派手に蹴りを入れた映像が何度も放送された。これらの影響によりメディアへの出演が激減し、自身が営んでいた中華料理店の経営も悪化した。そのうち兄の周富徳が死んだ。
『生香園』は弟が経営していて、反省したか静かに地元に食い込んでやっていると聞いたが、昨年5月『生香園』の従業員が偽装を告発してまた世間を騒がせた。
「偽装の代表的なメニューは『ふかのひれ、かにの玉子入りスープ』。中盆4830円と高額で人気メニューですが、実際には蟹の卵は使用していません。このほか『うづら挽肉の炒め、レタス添え』(中盆2750円)も実際にはうずらは使用せず、豚の挽肉に甜面醤、豆板醤、ニンニク、ショウガを混ぜて炒めています」というもの。
やれやれ、八百屋で魚を求めるようなものではある。でも、この店がうまいのは事実なので、困ったものだと、悩んでいる。