政界一寸先は闇、と言ったのは自らも自民党でオモテよりウラで蠢いた川島正次郎である。夏の参院選を前に新聞記事ではまたもこの言葉が氾濫しそうである。
春先の政界の見立てと言えば――参院選では石破自民党大敗で政権交代もありうる、との評判がもっぱらだった。国民民主が先の衆院選同様に議席を倍以上いや5倍にも増やしてあわよくば連立政権もという見立てだった。確かに昨年10月の衆院選で得た617万2434の比例票からすると国民民主党は次期参院選で6議席から8議席を得ると推測された。調子に乗った玉木代表は比例票の獲得目標を1000万票と掲げた。だと一気に10議席も確保できることになる。

それがあっという間に凋落した。主因は比例代表候補の「4人衆」と「政策能力以前の問題」が指摘される3人の議員だ。5月14日に国民民主党が発表した名前には、山尾志桜里(戸籍名:菅野志桜里)、足立康史、須藤元気、薬師寺道代という公認候補。「タマ不足」はわかるが、よりによって問題児ばかりである。
中でも山尾志桜里へのバッシングは強烈で、とうとう10日、国会内で本人が記者会見を開いたのだが、これがまた火に油。一番反発のある衆院議員時代の不倫疑惑に関して釈明したものの、不倫については「事実はない」と全否定に終始した。ガソリン代の不正支出問題については、当時の秘書が不正を行ったのであって、「(自身は)一切関わっていない」と逃げ。JR無料パスの不適切利用に関しては「私的な用事を済ませたのは事実だ。申し訳ない」と陳謝したものの、会見全体は無理押しの一手で、いったい何のための記者会見だったかわからない出来だった。
さすがに庇いようが亡くなったか、国民民主は翌日に「公認取り消し」を発表、それに今度は山尾志桜里が嚙みついて即離党というお粗末な展開だった。

逆に息を吹き返したのが石破茂首相。政権発足7か月の「青木率」は、3割台(46.9%=内閣28.0%、自民18.9%)という惨状だ。「青木率」は、参院自民党で絶大な影響力を誇った青木幹雄元議員会長が、「内閣と自民党の支持率を足した数字が5割を切ると、政権は早晩行き詰まる」というものだ。
もはやこれまで、という崖っぷちがひっくり返ったのはご存知「小泉進次郎米」だ。前任の江藤拓農相が自民党農林族のボスと農水省の言うがままに米価高騰の主犯であるJR農協に競争入札で備蓄米の94%を高値で落札させてお茶を濁していたが、「ウチは米買ったことない」失言で首を切られた。代わって登場した小泉進次郎農相が随意契約で農協を外して次々と備蓄米を放出、米価下落のきっかけをつくる「大成果」をあげた。
小泉効果で息を吹き返した自民党では「衆参ダブル選挙」で乗り切ろうという勇ましい言説まで飛び出している。だがブログ子の見るところ「絵に描いた餅」にすぎない。
その一つ目の愚策は、連立を組む自民党と「下駄の雪」公明党が決めた、1人あたり数万円の現金給付を行うという案だ。公明党はいつも選挙前になると国の財布に手を突っ込んでくるが、創価学会のおばちゃんは喜ぶだろうが大方の国民は「またか」と反感が募るばかりである。
2つ目は石破首相が9日所信表明でぶち上げた「令和22(2040)年に平均所得を5割以上増やし、名目の国内総生産(GDP)は1千兆円を目指すことを自民党の夏の参院選の最重点公約とする」と大見えをきったその愚策である。
「国民の納得と共感を得られる政治を実践する」とは、石破茂首相の昨年10月の所信表明演説だが、納得と共感を得るにはピントがずれすぎてはいないか。首相が9日、令和22(2040)年に平均所得を5割以上増やし、名目の国内総生産(GDP)は1千兆円を目指すことを自民党の夏の参院選の最重点公約として明記するよう党執行部に指示したという。
仮に平均所得を5割以上増やせたとしても、物価上昇率がそれ以上に高ければ元も子もない。いきなりGDP1千兆円と打ち上げられても、それが国民生活にどんな意味を持つのかにわかには理解し難い。来年のことを言えば鬼が笑うというが、15年も先のホラ話に付き合う国民がいると思うのか。

情けないことに野党も総崩れである。立憲民主党も党勢振るわず、解散風にも野田佳彦代表はの二の足を踏んで、小沢一郎ごときに馬鹿にされている。維新もろくでもない斎藤元彦兵庫県知事に入れ込んで以来総崩れだ.。特に前原誠司共同代表は「死に神」の本領を発揮して党勢下落に励んでいる。彼は国民民主党が予算案に賛成したことを批判して離党したのだが、維新に草鞋を脱いだ途端に率先して自民党の予算案に賛成し、結果的には崖っぷちの石破政権を救った。前原はこれまで数々の党を壊して「死に神」とも呼ばれるが、今回も国民民主党との協調の障害になった。
。当時は日本保守党だった。右は百田尚樹代表=2024年4月28日、東京都江東区.jpg)
共産党も党勢衰えてどのくらい議席を減らすかわからないという心細さだ。日本保守党に至っては自民党右派を取り込んでイケイケどんどんの勢いを見せたのは最初だけ。2024年4月の東京15区補欠選挙で公認として出馬し、善戦し約2万4000票を獲得した飯山陽を比例代表名簿から外したことで百田百樹代表との確執が表面化、党勢は一気に下降した。
頼みもしない消去法で、どの党も自ら消えて行った。ブログ子は猛暑の夏の間、八ケ岳の山の中で過ごすのだが、柵(しがらみ)もいろいろあって不在者投票がてら下山するのだが、今回は秋まで山中で過ごすことになりそうだ。永田町の三文芝居など見なくたってどうってことない。