自衛隊機へのレーダー照射についての中国側の虚言・妄言はエスカレートの一途をたどっている。
この事件は12月6日、沖縄本島南東の国際空域で発生した。中国の空母「遼寧」から発艦したJ-15戦闘機が、航空自衛隊のF-15戦闘機などに対して火器管制モードとみられるレーダーを断続的に照射した。「ロックオン」とも呼ばれる状態で、攻撃の兆候とみなされる危険な行為だ。
アメリカ軍ならすかさずミサイルを発射しただろうといわれる。普通ならまず誤射だったと謝るのが普通だが中国は違った。お国柄の「開き直り」である。

司馬遷の『史記』に、皇帝をもしのぐ権勢を誇った秦の高官、趙高の逸話がある。幼少の皇帝に、「馬です」と言って鹿を献上した。皇帝は笑って左右を見渡したが、居並ぶ重臣たちは趙高を恐れ、口々に「馬です」と述べ合ったという。恐れ、おもねる者たちが権力者を取り巻く組織では、黒いものも「白い」で通るということだろう。誤りを強引に押し通す〈鹿を指して馬と為(な)す〉の慣用句はこの故事から生まれたが、戦狼外交官が恐れおののく習近平という現代の「趙高」の姿が重なる。
レーダー照射がどれほど危険な行動かはいわずもがなだが、今回の中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射の前にまったく同じことをしでかした韓国海軍による海上自衛隊機へのレーダー照射事件があったことを忘れてはならない。

2018年12月20日、能登半島沖の日本海で韓国海軍駆逐艦「広開土大王」が海上自衛隊のP-1哨戒機に対し、火器管制レーダーを照射した。防衛省は証拠映像や探知音を公開し、韓国側に強く抗議したが韓国側は一貫して「照射はしていない」と否定、「遭難船救助のためにレーダーを稼働したのを日本側が誤解した」「日本の哨戒機が低空で接近し威嚇飛行を行った」と強弁し続けた。
多くの人は、この時の韓国側の虚言・妄言は、今回の中国の言辞とそっくり同じであることに気づかれることだろう。そう、中国はこの甘い日本の対応ぶりをみて、たかをくくって挑みかけているのである。
中国軍は9日、訓練開始前の中国軍と自衛隊による無線のやりとりだとする音声をSNS上で公開し、事前に訓練を通告していたと主張した。音声データでは、中国海軍の艦艇が自衛艦に対して、中国語と英語で「我々の艦隊は計画に基づき、艦載機の飛行訓練を行う」と呼びかけ、日本側が英語で「メッセージを受け取った」と応答していると主張、「中国側のレーダーの捜索範囲内に進入し、レーダーの捜索信号を感知した」との持論を展開。その上で、中国側の航空機も同様に日本側のレーダー信号を感知したと強弁した。
中国外務省の 郭嘉昆グオジアクン 副報道局長は10日の記者会見で、「日本が意図的にデマを流したことが証明された。日本こそがこの茶番劇を画策した張本人だ」とも述べた。
7年前の韓国の開き直りとそっくりである。事実は小泉防衛相が10日、臨時記者会見を開き、中国側から訓練に関する時間や場所を示す事前通報はなく、「危険回避のために十分な情報はなかった」と反論し、航空自衛隊の戦闘機が中国機にレーダーを使用した事実も否定、「問題の本質は、中国側が約30分にわたる断続的なレーダー照射を行ったことだ」と批判したとおりである。
小泉氏は、中国軍の6日の訓練が沖縄本島などの周辺の海域で行われたことに触れ、「自衛隊が対領空侵犯措置を行うことは訓練に関する事前通報の有無にかかわらず、当然だ」と語った。「判し、再発防止を改めて求め
ブログ子は岸田文雄、石破茂というかなり頭が”溶けた”内閣が謝りもしないですっとぼけたままの韓国に日韓スワップはじめ、いざという時韓国に灸をすえる効果がある外交カード7つほどをさっさと与えてしまった愚を何度か指摘してきた。
日本はもうすこし敏感になってもよさそうなものだが、知る限り韓国によるレーダー照射問題について語ったのは日本保守党の百田尚樹代表だけである。9日の記者会見で、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について「言語道断な行為だ」と批判したうえで、過去の日本政府の「事なかれ主義」が「遠因」であるとも指摘した。
百田氏は「この時、日本政府、防衛省の対応が非常にぬるかった。徹底して抗議して、韓国軍、韓国政府に対して非常に厳しい態度を取るべきなのに取らなかった」とも述べた。

そのうえで2019年6月に当時の岩屋毅防衛相がシンガポールで韓国国防相と笑顔で握手したことを挙げ、「喜んで満面の笑みをたたえて握手した。握手した写真も(報道に)載っている(上の写真)が、身を乗り出して自分から握手している。なんだこれは、平和外交でもしているのか、という感じだ。笑顔など出るはずないのに」と批判した。さらに「国際社会はそういうのを見ている。特に中国はじっくり見ている。だから、悪例を残したな、とそのとき私は見た。『日本の自衛隊はレーダー照射してもあまり怒らないな』『これなら、いざとなったらやれるな』と近隣国は見ている」と語った。
氏はまた、民主党政権下の2010年に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、中国人船長を釈放した日本政府の対応についても言及した。「本来なら裁判にかけるはずだった。近隣諸国は、日本というのは、領土領海を徹底して守り抜く強い意思がないな、とみている」と振り返った。事件後にロシアの国家元首が北方領土に初上陸したことや、韓国大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に初上陸する事態が起きたと紹介した。
そのうえで、「今回の中国のレーダー照射は、ばかげた、非常に愚かな行為だと思うが、それまでの日本政府の非常にだらしない事なかれ主義が今回のことを生んだ。国際社会は、こちらが緩んでいる、譲歩していると、どんどん状況は悪くなっていく。自民党政権は分かっているのか」と強調した。
まったく同感である。