今年の世相を反映した言葉を選ぶ現代用語の基礎知識選「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のトップテンが1日、発表された。年間大賞には、高市早苗首相が10月に自民党総裁に選ばれた直後に述べた「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が選ばれた。

高市首相は1日午後、東京都内であった発表・表彰式に「受賞者」として登壇し、「賛否両論いただきました」と振り返った。そのうえで「日本国の国家経営者としては、なんとしても、自分も働いて働いて働いて、国家国民の皆さまのために貢献したい、そんな思いがございました。決して多くの国民の皆さまに、働きすぎを奨励するような意図はございません。また、長時間労働を美徳とするような意図もございませんので、そこはどうか誤解のなきようにお願いします」と説明した。
ブログ子は多分これが大賞に選ばれると予想していたので、高市首相は時間をやりくりしてでも自ら出席した方がいいと思っていたので、「グッジョブ」(よくやった)と喝采を叫んだものだ。笑顔を絶やさずスピーチして写真撮影に応じた後SPに取り囲まれてすぐ退場したが、目的は十分達した。この「余裕」をしっかりと習近平の中共政府に見せつける必要があったのだ。
これが受賞すると予想したのはそんなに難しいことではない。現役記者時代主催者側に取材したこともあるので主催側の「願望」がよく分かっている。事実、時の首相のことばが選ばれるのは珍しいことではない。
1984年の新語・流行語大賞の第1回では、時の中曽根康弘首相が「鈴虫発言」なる語で新語部門・銀賞に選ばれている。これは前年、ロッキード事件裁判での田中角栄元首相の有罪判決直後に行われた12月の総選挙において政治倫理の問題が大きく取り沙汰されるなか、中曽根首相が「『倫理、リンリ』とまるで鈴虫が鳴いているようだ」と揶揄した発言だ。
その後も1999年には小渕恵三首相が自身の電話魔ぶりを表した「ブッチホン」で、2001年には小泉純一郎首相が「米百俵」「聖域なき改革」「恐れず怯まず捉われず」「骨太の方針」「ワイドショー内閣」「改革の『痛み』」とじつに6語で受賞した。時の首相が年間大賞に選ばれ、いずれも喜んで出席している。
主催者側に時の首相にぜひ出席してもらいたいという願望があり、首相側にも受け狙いがあるから、今回のように容易に受賞が予測できたのだが、今回は中国政府の「嫌がらせ」の真っ最中である。
歌手の浜崎あゆみは29日開催予定の上海公演を中止させられた。 浜崎は抵抗して「私達は昨日の中止要請の後、日本と中国のクルー総勢200名で協力し合い、無観客の状態で一曲目からアンコールまできっちり本番通り行ってから会場を後にしました」と報告。あのルーピー鳩山由紀夫をして「感激した」と言わしめたものだ。
人気アニメ「ワンピース」のエンディング曲で知られる歌手の大槻マキも28日上海で開かれたイベントでの公演中に突然電気を切られて歌唱中に音楽が停止し、真っ暗な中でパフォーマンスの中止を命令されている。
世界中が中共政府の無謀に腹を立てている中だからこそ、流行語大賞という一イベントながら、素知らぬ顔で余裕の対応を北京に向けて発信することが求められていたのである。
付け加えると、昨年あたりから「誰も知らない流行語大賞」といわれて存在価値が否定されていたものだが、ブログ子は反対に「社会の定点観測」として評価しているので、来年はもっと盛り上がることだろうと予想している。