近ごろこれほど面白く、「寸鉄人を刺す」コメントにお目にかかったことはない。それも同僚議員からの指弾だから、思わず笑ってしまった。

立憲民主党の原口一博衆院議員は15日、インターネットに動画を配信し、高市早苗首相の台湾有事を巡る答弁を批判している同党の辻元清美参院議員らを念頭に、「始末に負えない。どこの国会議員かわからん」などと述べた。
問題の辻元清美の言動というのは12日。国会内で記者団に、高市首相から台湾有事を巡る答弁が出た11月7日の衆院予算委員会に際し、立民の岡田克也氏による事前の質問通告に対し内閣官房が作成していた応答要領の資料を示しながら
「高市首相の答弁は、官僚の用意した(この)答弁案に含まれていない。歴代政府の見解からは逸脱しているということが明らかになった。(高市首相が勝手に)持論を展開した結果、対中関係が緊張し、さらに軍事的緊張、それから経済的な損失のエスカレートというところまで発展してしまっている。首相自身の責任は重いのではないか」と述べた一件だ。

原口氏は辻元氏を名指しこそしなかったが、「高市さんの例のやつ(=国会答弁)はスタンドプレーな
のだそうだ。そして、鬼の首を取ったかのように言っている。オタクら、どこを考えて言ってるのか。(首相の)責任は重い、というが、官僚の書いた答弁を読むだけだったら、大臣はいらない。AI(人工知能)音声や官僚である政府委員で十分だろう」とも強調した。
また、2009年に民主党が自民からの政権交代時に「政治主導」を掲げていたことなどを踏まえ、「日ごろは政治主導でしょ。『政治家が自分の言葉で言え』と言うのだろう。(それならば)官僚答弁を読まないことが、なぜ悪いのか。自分が都合のいい時だけ『官僚作成文書を読め』と言うのか」
台湾有事答弁を巡るこうした一連の立民の言動にも踏み込んで「どこの国会議員か分からない人たちを整理しよう。曖昧戦略を踏み込んで(中国との)認知戦に持ち込んで『詳しくしゃべったからだめだ』と。今度は『官僚の答弁を読まなかったからだめだ』って。それはいくらなんでもひどい。そういうことをやるから、(立民への)支持が落ちる。というか、ほとんど支持なしだろう。本当に始末に負えない」と自党を非難した。
辻元清美の名前は「ソーリ、ソーリ」で有名だが、機を見るに敏で社民党が泥船と化すや、いち早く立憲民主党に鞍替え、選挙区で落選したかと思うとどう手を回したか比例に回って今がある。自己宣伝ばかりで論旨の一貫性など元からないご仁だ。かつて国会質問のなかで、当時の森喜朗首相に対し「答弁書を見ていただかなくても、本当に率直なお答えをいただきたい」と求めたことがあるのをけろっと忘れているようだ。
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辻元清美の「アホらし言辞に異を唱えたのは原口議員だけではない。元衆議院議員、それも辻元清美と同じ立憲民主党で同僚だった山尾志桜里氏も13日のXをで同じように批判して、「大臣には『紙を読むな』事務方には『紙を差し入れるな』。閣僚に自分の言葉で語らせる国会議論を追求してきた立憲民主が、こと中国問題になると党をあげて『紙を読め』とな!」と呆れたようにコメントしたうえで「総理は官僚作文に縛られろというなら、官僚に質問したらいい。毎回同じ答弁がもらえること間違いなし」と指摘したうえで、
「それこそ中国に忖度して国会議論の自主規制を呼びかけるようなもの。中国が怒れば日本が止まる、こんな成功体験をアシストしないでほしい。そもそも日本の国会議論のレッドラインを中国に設定される筋合いは全くない。なのに日本の議員がそのレッドラインがあるかのように反応して、ラインを上書きして、日本の国会議論や政策選択の余地を狭めていくのは、見ててしんどいものがあります」と、辻元議員の反応が本当に日本のためになっているかについても疑問視した。
辻元清美の行くところの政党はみな「消滅の危機」である。立憲民主党もジリ貧から脱出したいなら、こんなご都合主義的「蛇蝎」を切ることから始めたらどうだ。