公正取引委員会は18日、長野県北信地域でガソリン価格を不正に調整するカルテルを結んでいた疑いがあるとして独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で県石油商業組合に立ち入り検査を行った。

同市内のGSでのカルテル疑惑を巡っては、組合に加盟する同市内の複数系列のGSが店頭価格をそろえるため、値上げ幅や値下げ幅を事前調整している疑いがあるとする一部報道があり、県は今月6日、組合側に対して全県の事業者を対象に、2週間以内をメドに事実関係の調査を依頼していた。公取委は早期に調査に入ることで実態解明を図る方針だ。

ブログ子はやっと公取が動いたか、という思いだ。長野県のガソリン代はあきれるほど高い。ずっと日本一を続けている。輸送コストを理由に沖縄や北海道は他より高いのはわかるが、そこを差し置いて長野県だけ図抜けて高いのだ。ブログ子の山墅は長野県南牧村にある。東京を出るとき満タンにしてなるべく給油はしないのだが、長逗留の時にはそうもいかなくなる。その時はわざわざ山梨県まで10数キロ走って行く。長野よりリッター当たり5~10円は安い。地元の人もそうしているから皆が知ってのことだ。
不思議なのはセルフのスタンドまで全GSが同一料金の看板を掲げていることだ。セルフなら他より3,4円は安いのは常識だが、ここでは見事に高値に統一されている。ブログ子がいるのは東信地区なのだが、実際にセルフに入ってみると、支払金額は2円/Lほど引いてある。商売なら安い金額を表示するはずなのが他スタンドと横並びなのは組合の談合に違いないと思い、昨年公取委に通報したのだが、あまりやる気がないような応対で事実まったく動かなくてがっかりした。今回も一部の地元紙報道で動いたというから、しぶしぶ腰を上げたのだろう。
今回の手入れは北信地域の談合だが、なに県石油商業組合は全県で支配しているのは間違いない。メディアが行った関係者への取材でも、組合からの指示でガソリン価格の値上げや値下げの幅を事前に取り決め、店頭表示価格を示し合せていることが分かっている。
「来週の何曜日から、いくら値段が上がります、下がりますという連絡が回ってくるんです」。県内のGSに勤務する男性は取材にこう語った。
「電話連絡があり、『協力しないとわかってますよね?』みたいな話ではありました。うちは小さいところなので従わざるを得ないんですけれども」と語り、価格を揃えるよう強いられていたことを明かした。
さらに衝撃的なのは、吊るしあげまでやる悪質さだ。関係者は「価格を揃えていないと組合の事務所に呼び出されて、揃えるよう求められた業者もいる」と証言。
「『どうなってんだ』と、『和を乱すのか』というみたいな感じで、詰められるというか、半分脅迫ですよね。組合の事務所に呼びつけて、『みんなの前で謝れ』」と、激しく責め立てられるという。
県石油商業組合の悪質さは組合に非加入のGSまで圧力を掛けていたことだ。非加入の「JAながの」と「JAグリーン長野」にも電話連絡をしていた。両社とも「担当部署に連絡があった」と認めたものの「ただ情報として聞いただけ」とか「回答を差し控える」とか、おびえた様子で、いかに組合の態度が脅迫に近いものだったか示している。
手入れを受けた後の組合の態度も実に悪い。林一修専務理事は「組合企業の価格自体を把握しておらず、事前に決めることはあり得ない」と関与を否定するふてぶてしさだ。「県全域の会員企業やガソリンスタンドを対象に価格調整の事実があったかどうかを調査する」ととぼけたうえ、県への調査回答期日を引き延ばすは、県や公取との誤認があるといってごてたり、いまだに放置している。

さらに言うのだが、この低劣な組合も県も国もクルマとガソリンに「集(たか)り」過ぎだ。世界でも例を見ない過重負担を強いている。今回のガソリン高はトリガー条項廃止のために起きた。トリガー条項と言うのは、ガソリン1リットルあたりの価格が連続する3か月の平均で160円を超えたら、自動的にガソリン税のうち上乗せ分25.1円が引き下げられる。さも、減税の恩恵のようにいうが、とんでもない、国の「集り」部分なのである。
ガソリンは本体価格だけではなく、石油石炭税・ガソリン税(本来の税率分)・ガソリン税の暫定税率・消費税といった様々な税金がかかっている。現在のガソリン税の金額は1リットル53.8円である。本来のガソリン税(28.7円)に暫定的に25.1円が加算されていたもので、かねてから国民を始め、自動車産業からも「廃止」を求める要望があった。
2024年12月に自由民主党、公明党、そして国民民主党の幹事長会談で「ガソリン減税(ガソリンの暫定税率の廃止)」について合意されたものの、あくまでも「協議を進める」ことに留まっており、2025年を通して廃止の方法や時期の議論を重ねていくというのんびりした話にとどまっている。
EV化が進めばガソリン頼りも減るのだが、我が山墅のように寒冷地ではバッテリー劣化の問題があって進む目途はない。高値に胡坐をかく長野県の石油組合は許せないが、いつまでも続く国の「ガソリン集り」も許せない。