南シナ海は中国の一大軍事拠点と化した

暮れのことだが、中国政府系サイト「中国南シナ海ネット」は、人工島造成の目的が「軍事防衛の強化」であることを初めて認めた上で、今後も島嶼の面積が拡大していくと明言した。これまで中国は、米国などから南シナ海を「軍事拠点化」しているとの批判を受けるたびに敏感に反発してきたが、完成したとたんに開き直ったかたちだ。

また、現在は中国所有の空母は「遼寧」1隻だが今年以降に建造を加速させ、2030年までに4隻の空母打撃群を運用する計画を持っていて、うち2隻は原子力空母だという。海洋権益拡大の野心を隠さなくなったのだ。

中国が南シナ海を埋め立てた場所の航空写真(写真下)を見てもわかる通り、確かにこれはすでに立派な「空母」そのものである。つまり近々中国はアメリカをしのいで空母10隻を保有する一大軍事大国となる。

こればかりではない。中国は2020年代に海上浮動式原発を20基建設する計画とされるが、同サイトは「海上原発の建設と運転開始に伴い、三沙市(南シナ海の諸島を管轄する中国の地方政府)への電力供給はさらに安定するだろう」と言及し、南シナ海の島嶼で海上原発を運用する方針を公式に認めた。

どこかの国が原発ゼロ運動でつぎつぎ原発を止め、新設計画も反対運動の高まりで遅々として進まないのをいいことに核による軍事大国建設に拍車をかけている。

現在、日米が優勢を保っているのは潜水艦能力だが、これとて風前の灯となりつつある。米ランド研究所が中国軍の「弱点」を分析した2015年の報告書によると、中国海軍は、対潜戦の能力の低さを自ら認識しており、目下着々と防潜網を構築しているという。

日本を取り巻く防潜網としては米国が冷戦期にソ連の原潜の動向を探知するために大西洋や太平洋に構築したSOSUS(ソーサス=音響監視システム)がある。その存在は1991年に公表されるまで機密扱いだった。SOSUSは太平洋ではカムチャッカ半島沖から日本列島を経由し、フィリピン・マラッカ海峡まで伸びる1本と、アリューシャン列島からハワイまでの1本、さらに米国西海岸沖に1本の計3本が設置されたという。数千個の固定式パッシブ・ソナーとそれを結ぶケーブルから成り、三角測量方式で音源(潜水艦)の位置を割り出す。条件が良ければ約1000キロ先の潜水艦の騒音を探知でき、特定した位置の誤差は数十キロという。

日本周辺では宗谷、津軽、対馬、宮古の4海峡周辺の能力が強化されているものの、台湾周辺では台湾東部・蘇澳と沖縄・与那国島間、台湾とフィリピン間のバシー海峡などに「穴」があるとされている。

これに対して中国科学院の声学研究所が光ファイバー方式の音響監視システムの研究を開始。10年1月には南シナ海の海域にシステムの設置が完了したという。これにより、南シナ海で音源(潜水艦)の方位や距離、深さ、型式が分析できるようになり、中国の対潜戦能力が大幅に向上した。各国の潜水艦の動向を把握できるようになり、中国側は南シナ海で行動する自国の094型(晋級)原潜の隠密性が高まるという。中国はまさに南シナ海にSOSUSと同等のシステムを構築しつつあるわけだ。

能天気に平和憲法擁護を叫んで進駐軍直筆の日本無力化憲法を何一つ変えられないで、夢物語の「専守防衛」をまどろんでいる間に中国はこうして軍事力を高めている。南シナ海を要塞化して次に、一気に尖閣諸島に出て来るのだろう。そのとき、左巻き連中は自衛隊に後を任せてとっとと逃げだしているのだろう。

2018年正月にみたブログ子の初夢では、近未来の軍事展望はまことに不吉なものであった。

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