今年のノーベル物理学賞は青色発光ダイオード(LED)の開発に寄与した3人の日本人研究者が受賞した。赤崎勇・名城大教授(85)と天野浩・名古屋大教授(54)は高輝度のLEDに欠かせない良質な結晶を作製、窒化ガリウムの半導体で青色に光るLEDを作ることに成功した。中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)は日亜化学工業(徳島県阿南市)の研究員時代に製法を進化させた功が認められた。
赤崎勇氏と天野浩氏はその後の発言をきいていても、いかにも実直な研究者らしく淡々と科学の面白さを語って好感をもてるのだが、もう一人の中村修二氏の言動はいただけない。特許権を振りかざして権利ばかりを言い立てて、現在進んでいる、社員が仕事で行った発明(職務発明)の特許権を「会社のもの」にする特許法改正の動きに、自身の経験から「猛反対」とまくしたてている。どうにも日本の科学者らしくない異質の人物のような気がするのはブログ子だけだろうか。
中村氏は青色LEDを発明した対価として、開発時に研究者として勤めていた日亜化学工業に200億円を請求する訴訟を起こし、8億円超で和解した。この訴訟は会社の金と研究施設を使って得た成果をすべて個人のものとするもので、危機感を持った経済団体などによる制度見直しを求めるきっかけとなった。本人は2000年に研究の拠点を米国に移し、「研究費を自ら集める必要があり、米軍関連の予算を受けるため」に、約10年前に米国籍を取得している。
米国籍というのでアメリカ人扱いされて今回も全米のテレビでは米国人受賞者としてコメントを求められているが、彼は日本企業での研究開発環境は奴隷並みであり、会社を退社した後も企業秘密漏えいの疑いで訴えられたりして、日本では研究者がどれだけ虐げられているかテレビカメラの前で力説しているという。
さらに当時勤めていた会社(日亜化学工業)が発明特許を独占したことや、莫大な利益を会社にもたらした自分の発明に対して数万円の報奨金だけしか貰っていない(8億円で和解した)不公平さ、さらに渡米後にその会社から企業秘密漏えいの疑いで提訴された怒りをまくしたて、日本企業に対する怒りがノーベル賞研究のエネルギーになっているなどと語っているのである。
受賞発表後3人は一度も一緒に並んだことがない。それどころか犬猿の仲と言っても良いほどだという。というのも先の裁判で証人に呼ばれた、青色発光ダイオード自体を開発した天野氏は中村氏が開発したとされているツーフロー装置は特許として全く価値がないものだと証言しているほどだという。3人のうち2人のノーベル賞には疑義がないが、中村氏の受賞は何かの間違いだとしう巷間の噂もあるくらいなのである。
12月10日の授賞式の夜、3人はどういう形で「同席」するのか、別な意味で興味が出てきた。