韓国の朴槿恵大統領に関するコラムをめぐり、名誉毀損で在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が出国禁止措置の執行停止を求めた仮処分申し立ては、ソウル行政裁判所で棄却された。前支局長の帰国は認められず昨年8月に始まる出国禁止措置はすでに半年の長きに渡っている。
李裁判長は棄却理由として、(1)加藤前支局長は韓国に4年以上生活し、多少、在留期間が延びても耐えられないほどとは言えない(2)加藤前支局長の家族は韓国入国を禁止されていない-などとした。裁判所なら出国禁止措置そのものの是非を論じるべきだろうに、そこは逃げて、本人は4年赴任したからあと少々延びたとこで耐えられる、会いたいなら家族が韓国に来れば良いというのである。権力と世論(メディア)におもねった司法後進国ならでは屁理屈である。
そもそも前支局長のコラムは旅客船「セウォル号」沈没事故当日の朴大統領の行動について、韓国紙、朝鮮日報の報道を引用する形で「噂」に言及し、「真偽不明」と断った上で風評の背景について論じたものだ。当の朝鮮日報はそのままに、伝聞と断って引用した記者を名誉毀損だとする起訴自体が筋も通らない不当なもので、当初は冗談だろうと日本では受け取られていたほどで、日本の司法界でいう「無理筋」である。何が何でも反日で行こうとする韓国の愚かな裁判なのである。
ブログ子は加藤達也前ソウル支局長をよく知っている。OBとなったあとも夕刊フジ報道部にいた加藤記者を誘って神田で何度か飲んだが、取材力もありきちんとした原稿が書けるエースだった。韓国に「囚われの身」になってからは家族の名前が並んだ賀状も届かず、報道で知るだけになったが、毅然とした態度に終始しているのをみてもわかるとおり、醜悪な国に置いておくのはもったいない男である。。
折も折、その韓国に揉み手をして訪れた政治家がいる。1400人を引き連れて朴槿恵大統領にも面会した自民党の二階俊博総務会長である。13日、朴氏は「今年は(日本の戦後)70年の年で歴史問題が話題になろうが韓日双方が慎重に対処していくことが大事。慰安婦問題では(元慰安婦の女性たちが)生きているうちに問題を解決したい」と、日本側に速やかな対応を求めたのに対し、二階氏は「まったくその通りだ」と述べ、認識が一致したことを明らかにした。この日裁判所の判断が出た、加藤達也前支局長の問題では二階氏が、安倍首相の「日本国民は皆心配している。自由に日本に渡航し家族と会えるようになることを望む」との意向を伝えたが、朴氏は「問題は司法の場に移っており、司法の判断に委ねるしかない」と答えたという。あきれたものである。慰安婦問題では先に朝日新聞が16本もの過去の記事をすべて誤報と認め取り消した。せめて歴史認識を改めるべきは韓国側であることをいったらどうか。「司法の判断に委ねるしかない」そうだが、韓国では司法は大統領がどうとでもできるようだから、早くでたらめな裁判を止めさせろ、ぐらいは言うべきだった。
長く永田町を観察していて、安部首相になってよかったと思うことの一つが古い自民党の体質にどっぷり使った旧世代、例えば加藤紘一、野中広務、山崎拓などが表舞台から消えたことだ。しかしまだ跋扈しているのが古賀誠、二階俊博の二人だ。 二階氏は2012年12月、衆院議長就任が決まった伊吹文明氏から33人の派閥を引き継いだ。以来、「面倒見がいい」との評判で無所属議員も特別会員として派閥に加えたりして党内第四派閥の麻生派(37人)に迫る勢いを見せている。
自民党は安部首相の音頭で派閥解消を目指しているのだが、どこ吹く風で、今度は韓国についでやはり1000人規模で来月あたりに中国行きを計画している。日本の古い政治家の中には、何百人もの「お付き」を従えて外国を訪問し、その地の権力者と面会することを無上の喜びとする人たちがいる。卑近な例では民主党の小沢一郎幹事長で、140人以上の国会議員を含む600人余を引き連れて、北京を訪ねた。
2009年12月10日、出迎えた胡錦濤国家主席は、国会議員一人一人と握手するサービスぶりをみせた。議員たちは、喜々として握手するため列をなし中国側の「朝貢」外交の図に乗った。議員たちは握手の写真をポスターに選挙を戦ったもののほとんど落選して小沢一郎以下4人。あと一人で政党助成金もらえるというので「生活の党と山本太郎となかまたち」という屈辱的な党名になっているのはご承知の通り。
小沢一郎の「一の子分」だった二階氏だから、そっくり同じ図式を描くのだろうが、みっともないったらありゃしない。次の総選挙が待ち遠しい。