仕事柄テレビの国会中継はよく見る方なのだが、昨今は野党、特に民主党の質問には馬鹿じゃないかというのが多くてスイッチを切ることが多い。IS対策、経済、どれをとっても今のところ隙がない安倍首相を責めるに事欠いて、重箱の隅をほじくるようなものになるのだろうが、野党の存在価値を問いたくなる。
トップに立った岡田克也民主党代表は19日の質問の冒頭、所得格差を示す「ジニ係数」などを示しつつ、「格差が拡大している可能性が非常に高いとの事実認識を、きちんと受け入れていただきたい」と首相に迫った。「格差」を現政権の攻めどころとみて持ちだした数字だが、首相からは「(事実認識のためには)統計がどういうものか、しっかり把握する必要がある」とあっさりかわされた。それ以上は踏み込まず今度は昨年末の総選挙の時点で後藤健二さんが拘束された可能性を把握したのに、首相と菅官房長官は衆院選の遊説で、首相官邸を空けていたことを取り上げて「官邸にいれば、もっと早く対応できた」と追及した。無理筋の質問というべきで、これも菅氏に「世耕弘成官房副長官が職務を代行し、問題はなかった」と言われ、そのうえで「(後藤さんの)夫人に『拘束されている』とメールが入ったが、本当かどうか分かっていなかった。拘束されたと心証を持ったのが12月19日だ」と説明した。
なおも岡田代表は「選挙で官邸を空けていた感覚が分からない」と食い下がったが、首相は「危機管理がちゃんとできているかどうか、民主党はそんなことが言えるのか」とやり返したうえで、「法的にしっかりと対応できていた」と強調されるや、鳩山、管というお粗末首相を輩出した手前かそれ以上は言えず、党内からも「首相を追い込めなかった」と不満の声が上がったほど。
20日の衆院予算委員会でトップバッターの前原誠司元外相は冒頭から「極めて品位に欠ける。答弁席からやじを飛ばすのは言語道断だ。厳しく反省してもらいたい」と首相に迫った。これは前日の予算委で首相が飛ばしたやじだった。首相は民主党議員が西川公也農林水産相の献金問題を追及する際、閣僚席から「日教組はどうするの」と指摘したことを指す。閣僚席からのヤジは確かに異例で褒められたことではないので首相は「今後は静かな討論を心がけたい」と釈明。その上で、日教組と密接な団体から民主党議員が献金を受け取っていた事例を挙げ、西川氏の献金と類似しているとして「それをどう考えるのかと指摘した」と伏線を説明した。
これにどういうわけか前原氏は「全く反省していない」と激高。 「開き直って抗弁だ。反省すべきだよ。素直ではないし、器量が小さい」とたたみかけた。「偉そう」とのやじには「何が『偉そう』だ!」と語気を強める始末。 前原氏は首相を「あなた」と呼ぶ場面も。大島理森委員長が「お互いに注意していこうではないか」と引き取っても、前原氏はなお「こんなくだらんことで5分も時間を使うのは情けない…」と吐き捨てた。
ブログ子などは、それはこっちのセリフだといいたい。先の民主党の代表選には出馬せず、勝ち馬に乗って発言権を確保する策をとった前原氏こそ「器量が小さい」と思う。まあ「言うだけ番長」の名をとった人だけのことはある。
同じ20日だが辻元清美政調会長代理の質問にはあきれた。「ソーリ、ソーリ」の昔からこれと福島瑞穂が出てくるとスイッチを切ることにしている。いつの間にか「政調会長代理」に収まっていたようだが、要するに社会党時代これに阿部知子を加えた「女の闘い」がえげつなかったのに加え、テレビを意識した質問が鼻持ちならないのだ
この日も昨年12月19日以降の首相の行動を記したパネルを用意した。ゴルフ、コンサート、ホテル宿泊、フィットネスクラブ、映画鑑賞、別荘宿泊…。日本人殺害脅迫事件をめぐり、後藤健二さんが何者かに拘束されたことを政府が把握した19日以降の首相の対応を批判するための道具だった。
「官邸をあげて対応すべきだった。映画やコンサートは慎み、ゴルフにも行かない方がよい」と“忠告”すると、さすがに首相もムカッときたようで「人質事件は何年も続く場合もある。その間、首相は他のことに手が付けられないのか」と反論した。
辻元センセイなおも、細部まで首相中心に対応すべきだったとの見解を披露すると、首相は「私は大きな方針の判断をする。日々の対応に口を出してはいけない。かつてそんなことがあったかもしれないが、絶対やってはいけない」と述べた。東京電力福島第1原発事故の発生直後に現地や東電本社に怒鳴り込んだ菅直人首相(当時)への嫌みも交えた。
それでもひるむ様子もなく、国内でテロの危険性が高まっていると盛んに主張。「公邸に泊まった方がよい」とも提案した。すると首相は最後に語気を強めて、こう言い捨てた。「一生懸命おとしめようとの努力は認める。だが、日本が危険な国であるかのようなことを言うのはとんでもない。安全な国であることを確保することが私の責任だ。公邸に泊まったら立派な首相なのか」
同じ20日、衆院予算委員会に呼び出したNHKの籾井勝人会長を20分の持ち時間をすべて使って糾弾した民主党の階猛氏もアホらし質問に終始した。
18日の会議でのやり取りを振り返りつつ、「籾井氏が『くだらん』と捨てぜりふを吐いたと聞いた。大変ショックだった。私も、やや冷静さを欠き、失礼な物言いがあったことはおわびするが、あの場での自身の言動は問題がなかったと思うか」と反省を求めた。ちなみに、「『くだらん』と捨てぜりふを吐いた」という発言に対して会場から「その通りだろ」と階氏を批判するヤジが飛んだほど。
籾井氏が自席から答弁席までゆっくり歩いていると腹を立て、大島理森予算委員長に対し「早く歩かせてください」と注文をつけた。たしかに、籾井氏の歩みは国会の「牛歩戦術」のようにも見え、民主党議員から「時間稼ぎだ」とのヤジ。
階氏の矛先は安倍首相にも。首相の答弁を改めて要求。首相はこう答弁した。「放送機関のトップが行った個別の発言について政府としてコメントすべきではないという立場だ」。コメントすれば介入したとなるから当たり前の話なのだが、階氏は「ぜひNHK会長、自分の進退を考えていただくようお願いする」として質疑を終えた。
NHKには性奴隷ものばかり8本も制作した女性ディレクターがいる。定年後もその種の資料館を運営している。誰も注意せず歪んだ番組を作らせたNHK上層部こそ糾弾されるべきである。民主党が質問すべきは、誰がこんな化け物を野放しにしていたかである。ブログ子など久しぶりにまっとうなNHK会長が来たと思っている。ピントの外れた質問はするな。