巣立つ2人に先生が黒板にチョークの力作

卒業式シーズンである。今朝の朝日新聞(電子版)にほのぼのとした記事が載っていた。ブログ子は大阪の私立の小中学校だったが、小学校の担任は6年間同じ先生で、黒板に真四角な枠で角ばった楷書の字を書いた。お陰で教え子は成人してもみな角ばった字を書いた。先生というのはそれほどの影響力を持つ聖職である。

記事では山の学校でたった2人の卒業生のために、白チョークだけで2人の生徒の似顔絵入の祝辞を書いた先生が紹介されていた。子どもにおかしな性教育をしたり政治教育をする日教組かぶれのセンセイがいる一方で、生徒と真正面から向き合う先生もまた健在なのである。記事にはこうある━

hida

岐阜県飛騨市神岡町の市立山之村小中学校で、卒業する中学3年の2人へのはなむけに、担任の先生が黒板に描いた大きな似顔絵を贈った。中学生3人と小学生4人だけの小さな山の学校。学びやを巣立つ2人の心に、その思いはしっかりと刻み込まれた。

13日に中学を卒業したのは、石橋穂(みのる)さん(15)と沖田裕太さん(15)。卒業式の後、担任の田端剛之教諭(32)が2人を理科室へ案内した。黒板には2人の大きな笑顔。白いチョークだけで描かれていた。

 「すごい。よく似てる」

 「ほくろまで、ちゃんと描いてる」

 驚く2人。少し照れた表情を浮かべ、絵を指さしながらうれしそうに見入った。「持って帰れないから、心の中にとどめてください」。田端さんが声をかけた。

 理科の先生で絵を本格的に学んだことはないが、「家族のような存在」だった教え子たちを最後の日に喜ばせたかった。空き時間を使って2人の写真を見ながら描き、1週間ほどで完成させた。「大きな学校だとできない。喜んでくれてほんとうによかった」

 神岡町の中心街から曲がりくねった山道を約20キロ入った高原に学校がある。2人とも都会からの移住者で、石橋さんは5歳のころに静岡市から、沖田さんは小学4年の時に名古屋市から、一家でやってきた。大自然の中で子どもを育てたいと両親が願ったからだ。石橋さんは6人きょうだい。沖田さんは4人きょうだいだ。

 石橋さんは昨秋あった英語弁論の県大会に「ど田舎」と題してこう語った。

 「山之村はないものだらけ。スーパーもコンビニも信号機もゼロ」。都会がうらやましく、当初、親の考えが理解できなかった。でも、地域の人たちとふれあううちに「不便だからこそ、人々は互いを思いやり助け合って生活している」と気付き、幸せだと思うようになった。

 2人とも「山之村に来てよかった」と胸を張る。石橋さんは薬剤師を、沖田さんは自動車製造の仕事をめざして進学する。

コメントは受け付けていません。