医者に殺される時代

名称未設定 1川崎市の聖マリアンナ医科大病院で発覚した、「精神保健指定医」の不正取得問題。指定医は、重い精神疾患患者を強制的に入院させるかどうか判断するなど、大きな権限が与えられ、診療報酬も優遇される。その資格を取るために11人の若手医師は、コピペで患者のリポートを提出していた。医師は既に100人の患者の強制入院に関わっていた。

このニュースで20年ほど前この医科大を取材した時のことを思い出した。医師免許を取得するための国家試験で聖マリアンナ医科大の合格率が40何%だったか、全国で最低というので問題になった。国立大医学部の平均合格率が95%くらいだったから明らかな学力不足だ。

学生は医者の子弟が多くて勉強しないのが多いこともあるが、はじめから授業についていけないレベルの者がいることが問題とされたが、ある学内関係者のコメントが印象に残っている。「今は教授や医局長などは国立大医学部から来ているからいいが、ここの卒業生が現場の多数を占めるようになたときが怖い」というのだ。

その大学の藤が丘にある附属病院に、4,5年前、義姉が入院した。糖尿で傷口が塞がリにくいというので他の病院で足の手術が難しいと言われていたものが、ここでは気楽に手術を引き受けたので件の取材を思い出した。案の定途中で他の病院に転院した。

群大医学部の謝罪会見

群大医学部の謝罪会見

群馬大学医学部の不祥事はひどいものだ。同病院第二外科では、腹腔鏡を使う高難度の肝臓手術で8人が死亡したほか、開腹手術でも2009年度以降10人の死亡が明らかになっている。死亡した患者は、いずれも同じ40歳代の男性医師が執刀した。

特に問題となっているのは、10年9月に胆管細胞がんと診断され胆管や肝臓を切除する手術を受けた後、容体が急変して3日目に死亡した患者。患者の死亡から10日後、切除した肝臓の一部を病院で検査したところ、がんではなく良性のできものだったことが確認された。

執刀医は、この検査結果を遺族に報告しなかった。そのうえ、同年11月に自ら作成した診断書にはすでにがんではないと判明していたにも関わらず「胆管細胞がん」と当初の診断名を記入した。虚偽の病名を記載したことになる。、日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会が実施した腹腔鏡手術の全国調査で、肝臓の手術で、手術後90日以内の死亡率の平均は、4年間で0.49%だったが、群馬大学病院の死亡率は8.6%。平均の17倍以上という異常な死亡率である。。

週刊誌では「殺しのライセンス」を持った医者と揶揄されている。3月末で退職したが、医師免許は取り消されたわけではないので、どこかの病院に潜り込むことは可能である。そこでまた「殺しのライセンス」を行使されたのではたまったものではない。はっきり名前を出すべきだろう。第2外科、須納瀬豊助教(45)である。

この人物が功を焦ったのは学内の対抗心だという。群大医学部には第1と第2の外科があるが、互いに絶交状態。第1は東大教授などへの転身を目指すエリート集団で旧帝大医学部出身者で固められている。一方第2の方は群大医学部出身者などの落ちこぼれ集団で、須納瀬助教は2007年に助教になったが対抗心から無理な手術を数多く手がけたのではないか(週刊新潮)という。監督責任があった第2外科を統括していた教授も小腸が専門で肝臓は門外漢。任せきりだった。

同病院は同科教授の診療科長としての業務を停止、執刀医については「医師の適格性に疑問がある」として一切の診療行為を禁止していたから、行き場を失って退職届を出したのは上述のとおりである。

東京女子医科大学病院で5年前心臓の手術を受けた男の子が急死した。2014年2月、首に出来た腫瘍を取る手術をした2歳の男の子が4日後死亡した。調べると、安静を保つために使われる全身麻酔剤プロポフォールが大量投与されていた。呼吸不全を起こす副作用があり、大人でも、1週間を超えて投与しないことになっているプロポフォール。医師はそうした危険を認識しないまま、男の子には2か月近く投与した。プロポフォール不正投与で同病院では63人中12人が死亡した。

4月17日、日本肝移植研究会は神戸国際フロンティアメディカルセンター(院長=田中紘一・京大名誉教授)に対し、、「生体肝移植をするには体制が不十分。整備できるまで移植を停止すべきだ」と提言した。この病院は、神戸市の医療産業都市構想の一環として去年11月に設立されたばかりの病院だが、積極的に生体肝移植を行い、患者はインドネシアなど海外からも受け入れている。

生体肝移植は、患者の肝臓を取り出し、健康な臓器提供者(ドナー)の肝臓の一部を切り取って移植するもの。この病院では 昨年12月~今年3月に移植を受けた胆道閉鎖症などの患者7人中4人が死亡している。生体肝移植の死亡率としては他より非常に高いが、田中紘一院長は、「亡くなったのはいずれも手術前の状態が悪く治療を尽くしたが助からなかった患者で、ミスがあったとは考えていない。死亡率については、まだ患者数が少なく正確なデータとは言えないと思う」と今月に入って、問題視される中さらにもう一人の手術を行った。
医者に殺される時代になったのである。

 

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