おかしな裁判官が国を滅ぼす

九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働差し止めを求めた仮処分申請を鹿児島地裁は22日却下した。科学技術に「ゼロリスク」は不可能であり、現在想定される最大限のリスクを織り込んだ対策で十分だとするもので、至極妥当な決定である。反対派の弁護士たちは「不当判決」「我々は屈しない」と不平を並べていた。

そこで問題になるのが、8日前原発反対派弁護士連中が「歴史的決定」「司法は生きていた」とビラを振り回していた福井地裁の再稼働差し止めを命じる仮処分決定である。関西電力高浜3、4号機(福井県高浜町)について、鹿児島と共通の争点であるにもかかわらずまるで異なる判断を示した。

樋口英明裁判長

樋口英明裁判長

このトンチンカンな判断をしたのは福井地裁の樋口英明裁判長である。彼が関西電力高浜3、4号機の再稼働差し止めを命じる仮処分を決定した理由は原子力規制委の新規制基準を「基準には、適合していれば万が一にも深刻な災害が起きないという厳格さが求められる」というのである。100%の安全性、ゼロリスクでなければいけないというのだ。裁判官は浮世離れした人種とはいえ、あまりに非現実的ではないか。100%、あるいはゼロは科学的ではない。だからあらゆる危険性を想定し、安全対策に手を尽くすのである。

あまりの判断に和歌山県の仁坂吉伸知事は「大飯も高浜も判断がおかしい」と疑問を呈した。「生存権のリスクをゼロにしろと言うのなら(より死亡事故の確率が高い)自動車の差し止め請求ができてしまう。なぜ原発だけ絶対になるのか。原発のリスクをあんなに極大化するなら、別のリスクはもっとある。電気代がかさんで企業が倒れたら誰が責任をとってくれるのか」と述べた。もっともな言である。

鹿児島地裁決定は、科学技術に一定の不確実性が存在するとの前提に立ち、原発の危険性が社会通念上無視できる程度か否かを検討している。高浜と川内では原発周辺の断層や火山の状況に違いがあり、住民側の主張に異なる部分も多い中、共通の争点は基準地震動(想定される最大の揺れ)の妥当性だった。福井地裁決定が「理論面で信頼性を失っている」としたのに対し、今回の決定は「(基準地震動の)策定方法は合理的」との見解を示し、住民側の主張を「曲解」と断じ、「基準は不合理ではない」とした。胸のつかえが取れるような内容だ。

樋口裁判長は大飯原発訴訟でも昨年の5月に「運転再開差し止め」を命じており、法曹関係者の間ではこれが原因で4月1日付で「名古屋家庭裁判所」に左遷されたとの見方がもっぱらだ。本来なら新任地に行っている所、引き継ぎの関係から職務代行が認められ14日にこれ幸いと「にっくき原発の再稼働など認めぬ」決定を下したのだろう。

下級裁判所の裁判官についての人事権は最高裁判所がもっている。最高裁判所の意向や判例に反する判決を出すとその裁判官は最高裁判所から差別的処遇(昇進拒否・左遷など)を受けるケースが多い。最高裁も「札付き裁判官」と見ているのだろう。ブログ子は青法協(共産党の傘下にある青年法律家協会)メンバーではないかと思っている。

このところトラブル続きのテレビ朝日の報道ステーション・古舘伊知郎など福井地裁の決定に大はしゃぎしてこの裁判官を持ち上げていたが、福島原発の事故原因を意図的に「地震」にしようとしている発言が多い。衆知のように地震による8メートル余の津波で電源が喪失したのである。だからどこも津波対策を強化している。地震となると「活断層」自体の定義も定まらぬ中で「ゼロリスク」など砂上の楼閣である。

原発ZEROを叫ぶのはいいが、日本列島はいまや火力発電が「9割!」である。石油石炭の輸入でどんどん電気代が上がる。日本と違って危なっかしい原発を韓国と中国は世界に輸出しようとしている現実も少しは見たほうがよい。

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