テレビのチャンネルを回すとネットショッピングと、過払い金返還のCMばかりである。特にアフタヌーンショーなど午後のワイドショーに多い。BSでは未だに韓流ドラマを垂れ流している。
能なしプロデューサーには、ニュースともう少し真っ当に向き合ったらどうかといいたいが制作費がかからず金が入る番組作りから足を洗うことはないだろう。
中でも過払い金返還のCMは悪質である。狙い撃ちにあっているお茶の間の主婦や定年後家に居るおやじさんたちには全く関係ないものだ。サラ金などで多重債務を負い自己破産したような人たちだけに発生するものである。出回っている多重債務者リストに引っかからないような人をテレビCMで引っ掛けようとする下司な試みなのである。
こうしたCMが多くなった理由は右のグラフと関係する。法律が変わって、サラ金などの多重債務者に救済措置とししてべらぼうな利息に対しては払い過ぎた分が戻されるようになり、返還訴訟が2009年をピークに激増した。お陰でサラ金経営は一気に不振となり有名どころも消え、駅前のサラ金看板もかなり姿を消して社会浄化につながった。
訴訟件数は2010年から一気に下り坂になって本来ならこんなCMはなくなるところなのだが、司法試験合格者を増やしたおかげで弁護士が増えすぎた。実際は地方都市では弁護士空白地帯が多くて、まだまだ足りないのだが、みな大都市に集中しすぎているだけである。仕事の取り合いで収入が少なくなった弁護士、司法書士がこの過払い金返還に目をつけた。
広告会社とテレビ局がこれに協力して大量のテレビCMを流しているのである。2月24日、消費者金融への過払い金返還請求を扱う弁護士や司法書士法人を顧客に持つ広告会社「DSC」(東京都渋谷区)が、約5億2千万円の法人所得を隠して法人税約1億3千万円を脱税したとして、東京国税局が同社と児嶋勝・前社長(44)を法人税法違反容疑で東京地検に告発した。
DSCは、全国で開かれた多重債務を整理する無料相談会の広告を担当。会場に集まった債務者の相談を受けた弁護士法人などから広告代を受け取っていた。昨年8月時点で全国約1千の弁護士、司法書士法人などと契約。設立10年で売上高が100億円を超えるなど、業績が急伸していた。
1社で1000の弁護士、司法書士と契約して100億円。それほど儲かるCMである。だから止められないのだが、グラフを見たらわかるようにもう仕事の旨味はなくなってきている。流される多量のCMを見ていると、TV局のさもしい根性を見ているようで不愉快だ。早々に過払い金CMはやめろ。