いやはやものすごいものである。初の「赤色警報」が出された北京では8日、微小粒子状物質(PM2・5)の平均濃度が1立方メートルあたり300マイクロ・グラムを超え、日本の環境基準の約9倍となった。中国が独自に算定、つまり自己都合の「大気汚染指数」に換算しても約6倍に相当する。
北京市は、同指数が「200」を超える状態が72時間以上続くと予想される場合、赤色警報を発令すると定めている。だが、11月27日から12月1日にかけて今回を上回るレベルの汚染が続いたにもかかわらず、赤色警報が発令されていなかった。今回はもはや覆い隠すことも不可能になったということだろう。
当然、死者も出ているのだろうが、その数を発表することなどこの国ではありえない。今から63年前のロンドンで名物のスモッグが大発生した。1952年12月5日から9日の5日間、亜硫酸ガスを含んだスモッグがロンドンを覆い、4000名がこの5日間で亡くなり、次の数週間でさらに8000名が死亡、合計で1万2000名がスモッグで命を失い、10万人以上が呼吸器疾患となった。これから類推すると空恐ろしい犠牲者が出ているのではないか。
中国がしらばっくれた12月1日前後の最悪大気汚染の様子をNASAが宇宙から撮影した画像がある。中国大陸が「赤色警報」に包まれているのが一目瞭然である。「Fog]とあるのはスモッグで、「Haze」(ヘイズ)とあるのがそれより上のPM2・5と思えばよいだろう。「Beijing」(北京)とあるあたりすぐ右側に日本の九州がきれいに見えているが、汚染が日本に及ぶのは時間の問題である。
大気汚染だけでなく経済も急降下の一途だ。成長率の鈍化はよく報道されるところだが、それ以上に、切実なのは、資金の対外流出である。経済分析に疎いブログ子は産経・田村秀男記者の解説を信じているが、それによると「中国の外貨準備は昨年6月末をピークに減り続け、ピーク時に比べ昨年12月末で1500億ドル減、今年3月末2630億ドル減となった。世界一の外準保有を誇っていてもみせかけに過ぎず、内実は外貨窮乏症に悩まされている。多国間銀行であるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の看板を掲げて、国際金融市場からの借り入れを容易にしようという算段なのだろう。中国はこのほど、3度目の政策金利引き下げに踏み切った。この利下げは景気ばかりでなく経済政策自体の八方ふさがりの表れであり、自滅のシグナルである」