誘拐容疑者の「卒業取消し」を目論む千葉大に異議あり

女子中学生(15)が約2年間、行方不明になっていた事件で、逮捕された寺内樺風(かぶ)容疑者(23)が通っていた千葉大学が31日、寺内容疑者に対する卒業認定と学位授与をいったん取り消し、卒業を留保したと発表した。

寺内樺風容疑者 今年3月23日の卒業式では卒業証書を授与したが、同大の内規は社会規範の順守を求めており、寺内容疑者は懲戒処分の対象となる「重大な非違行為」が疑われるため、同29日の教授会で卒業認定と学位授与の取り消しを決めた。学籍が同31日まで残っていたことを根拠にした措置で、4月以降も同大の学生のままとなる。学生懲戒委員会も設置され、捜査をみて最終的な処分を検討する。
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とんでもない犯罪者を出した気持ちは分かるが行き過ぎだ。内規とかをいじくりまわして理屈付けをしているが、どうにも無理筋である。

ブログ子は60年安保世代だが、機動隊と対峙して今にも学内に突入かというとき「学の独立」「学の自由」を叫んで徹底抗戦した。大学もそこは同じ思いで、警察の介入を嫌って一歩でも大学構内に入ることを拒んだものだ。それが、裁判も開かれていない、警察に拘束された段階でさっさと一学生を抹殺しようとするのだから「学の独立」も変わったものである。

千葉大の関実・工学部長は「事案を勘案し、卒業の取り消しの可能性も含めて検討していく予定です」と、学生を守る姿勢など微塵もない。寺内容疑者は2011年に千葉大工学部情報画像学科に入学し、12年10月から1年間の休学期間を挟んで計5年間、在籍。インターネット上の商品評価の分析を研究し、関学部長によると、成績は「中くらい」で、きちんと大学に通う「礼儀の正しい学生」だったという。大学ではきちんと勉学しきちんと単位を取って、きちんと卒業式を迎えている。

立派な「千葉大卒」である。犯罪を理由にさかのぼって卒業を取り消すなどあってはならない。そもそも大学は教育機関であっていろんな「外圧」から学生を守ってやる立場にある。率先して抹殺するなど教育機関としての役割を放棄した行為である。

将来、司法がどう断罪したとしても、「千葉大で学んだ」という事実は変わらないのだから、世間体を気にして学生懲戒委員会などに諮って、遡って卒業資格を剥奪するなどもってのほかである。千葉大は「出来の悪い犯罪者を出してしまった」という負い目をずっと背負って、むしろ更生のための手助けを(この手の倒錯した性犯罪ではなかなか難しいが)するくらいでなくてはならないと思う。

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