熊本の大地震、震度7が2回、震度1以上が840回(23日午前まで)という大変な災害で、多くの日本メディアが現地に入っているが、また中国、韓国の記者も惨状を伝えるため現地入りしている。
彼らがどう伝えているか、その一つ中国の環球時報の報道をみると意外なところで、日本人の行動に感心しているかが分かって面白い。日本の報道陣にとっては「当たり前」でニュースになどならないが、中国人記者にとっては「自分の国ではありえない」ことを、日本人が平然と規律正しく行動していることが驚きなのである。
中国人記者が、心温まる「細かな気配り」を捉えたのでここで紹介したい、と写真付きで紹介している内容は―
1、周りが瓦礫だらけなのに、道路工事を進める作業員は、石等の散乱を防ぐために毛布で囲んで作業している。
2、廃墟となった家屋に掛けられたウェットティッシュ。誰でも使用することができ、被災地に小さな生活感を届けている
3、この地震で誰もバスが来ないことを知っているのに、バス停には「バスの運行停止とおわび」を伝える貼紙が。
4、仮設トイレはきれいに使われていて棚には予備のトイレットペーパーが用意されている。
5、壊れた家の前にある花壇には、近所に人が書いたらしい「夫婦の無事と避難先」を伝えるメッセージがあった。「ガス栓閉めた、ブレーカー落とした」とも。
6、被災地には郵便配達する人が。日本の郵政サービスはいつも通り続いている。
7、これが日本の地震後の道ですよ!と題された中国ネットの写真には、整理戦頓されて道路わきに積まれたゴミの山が。
19日、中国のインターネット上に「日本の地震を受けて、中国人が知らなければならないこと」と題する記事が掲載された。
2008年に発生した四川大地震の際に、日本のテレビ局が募金を呼び掛けたり、コンビニでは募金箱が設置されたり、全国の街頭でも募金活動が行われたことを、数十枚の写真を掲載して紹介している。
今回の熊本県の地震に際しても、中国など海外から観光に訪れて被災した人々に対して「海外で災害に遭うとどれだけ不安なことか。無事に帰国させてあげてほしい」「災害救助には国籍・年齢・性別は関係ない」「中国からのお客様も多いよね。大丈夫かな?」といった気遣いを見せていることにも言及した。
その上で記事は、中国のネット上で一部心ないコメントが飛び交っていることについて、「コメントをしている人は状況を理解していないのかもしれない。しかし、日本が嫌いだからといって災害時に悪意のある言論は慎むべき。私たちを助けてくれた友人が、今まさに被災しているのかもしれないのだから」と批判している。
政治的なことは政府の意向に添ったことしか報道しない中国だが、災害という非常時には、素直な観察ときちんとした倫理観を持っている。