セクハラ疑惑で福田淳一財務事務次官が辞任した18日夜、テレビ朝日は週刊新潮にタレこんだのが同社の女性記者で、会話の録音データも提供していたことを公表した。
テレ朝によると、女性は福田氏に無断で会話を録音していた。上司に「(自社での)報道は難しい」と判断された後、「責任の重い立場の人物による不適切な行為が表に出なければ、今後もセクハラ被害が黙認され続けてしまうのではないか」との強い思いから、週刊新潮側に連絡。取材を受け、録音の一部も提供したという。
テレビを見ていたら早速「彼女の勇気に感動した」とかいう政治評論家を名乗るコメンテーターがいたが、はたしてそうだろうか。
ブログ子が新聞社で編集責任者をしていた経験から言えば、この上司と同じく「(自社での)報道は難しい」と判断しただろう。無断で会話を録音するという取材方法、1年半にわたって財務次官に誘われるまま2人だけの食事に出向いていることが理由である。
女性記者がすべてきちんとした取材方法を取っているわけではない。「おんな」を売りに、しなを作って取材対象に迫る人も結構いるのである。同僚の女性記者にもいたし、他社にもいた。誘われて密室の食事場所に数回も出かければ、相手が「その気」になって、報道されているようなことを口にするだろう。
この女性記者は上司に記事化(報道)が難しいといわれるや週刊誌に駆け込んでいる。これも、従来からよくある手口である。宮内庁記者クラブで多いのだが、取材で得た裏話や隠し事を自社で書けば、宮内庁から出入り禁止か取材から外される。一方、週刊誌は記者クラブから排除されているから、加盟社の誰かのまた聞き取材しかできない。そこで女性誌などが接近してくるので、そちらに流す。臨時収入にもなる。
「不適切な行為が表に出なければ、今後もセクハラ被害が黙認され続ける・・・」とはちと、綺麗ごとが過ぎる気がする。福田次官はセクハラ発言を否定しているが、それを言う前に「嵌められた」といった方が、世の常識にかなうように思う。