安倍辞任で朝日の気分悪い社説

安倍首相が辞任した。気の毒でならない。後継者に名乗りを上げている顔ぶれを見るとき、暗澹とせずにはいられない。それにしても朝日新聞というのは早く潰れた方がよい醜いメディアであることか。

トランプ大統領は、「彼は国を心から愛しており、志半ばでの辞任は想像できないほどにつらい決断だっただろう」といたわった。「首相は私の大の親友であり、素晴らしい男だ。最大の敬意を表する」と語った。

ライバルの民主党候補ジョー・バイデン前副大統領も28日、「辞任は悲しいことだが、日米の強力な同盟関係は脈々と続いていくと確信している」とツイッターに投稿した。

各国首脳からも首相の外交手腕を評価する声が相次いだ。英国のジョンソン首相は、「日本の首相として、日本と世界のために偉大なことを成し遂げてきた」とツイッターで評価した。ドイツのメルケル首相も記者会見で、「(安倍首相は)常に多国間主義のために尽力してきた」と称賛。カナダのトルドー首相もツイッターで「安倍首相はその見識や指導力、友情で、日本とカナダ両国の距離をさらに縮め、世界をより良くするために大変な貢献をした」と賛辞を送った。インドのナレンドラ・モディ首相も、「賢明なリーダーシップと献身により、日印協力はかつてないほど深く、強力になった」とツイッターで指摘した。

トランプ暴露本を出したジョン・R・ボルトン氏は安倍氏が内閣官房副長官をしていた2002年8月に東京で初対面し、18年来の仲になるが、「Abe will be missed*, not least because he tethered Trump somewhere close to reality」(安倍がいなくなってこれから寂しく思われるだろう。とりわけトランプを現実に近い場所につなぎ止めた人物として)という記事を発表し、安倍氏の功績を讃えねぎらった。

(* 良い印象の人物について「将来あの人の存在は素晴らしかったと思い出すだろう」「その存在がもうないことを寂しく思うだろう」という意味で使われる言葉)

さらにボルトン氏は、「安倍氏の辞任は日米両国にとって大きな損失である」と語った。その理由として、「前例のない長い任期で日本に安定をもたらし、世界情勢における東京(=日本)の影響力を増大させた」ことが大きいという。 また、別の国々の失敗例と比較しながら「経済の結びつきが強い2つの大国間では避けることができない 貿易や投資に関する論争を、東京とワシントンD.C.の間でうまく調整できたのは、安倍マジック(魔法)だ」、「安倍氏の紛れもない努力により、時として対立する日米同盟が強化されたことは間違いない。2国間の繋がりがそう簡単には切れない理由を証明したのは彼だ。

◇ ◇ ◇

安倍首相辞任を惜しむ言葉はどこの国も同じであるが、翻って日本の、それもあの朝日新聞を見ると胸糞が悪くなる。これが日本の新聞なのだろうかと思ってしまう。29日の社説は「最長政権 突然の幕へ 安倍政治」の弊害 清算の時」と題してこう毒づく。

 首相在任7年8カ月、「安倍1強」と言われた長期政権の突然の幕切れである。この間、深く傷つけられた日本の民主主義を立て直す一歩としなければならない。  

退陣の直接の理由は、わずか1年で政権投げ出しと批判された第1次政権の時と同じ持病である。しかし、長期政権のおごりや緩みから、政治的にも、政策的にも行き詰まり、民心が離れつつあったのも事実である。

 先の通常国会では、「桜を見る会」の私物化が厳しく追及された。公文書改ざんを強いられて自ら命を絶った近畿財務局職員の手記が明らかになったことで、森友問題も再燃した。

 河井克行前法相と妻の案里参院議員による大規模な買収事件が摘発され、選挙戦に異例のてこ入れをした政権の責任も問われている。検察官の独立性・中立性を脅かすと指摘された検察庁法改正案は、世論の強い反対で廃案に追い込まれた。

 それに加え、コロナ禍への対応である。首相が旗を振っても広がらないPCR検査、世論と乖離(かいり)したアベノマスクの配布、感染が再燃するなかでの「Go To トラベル」の見切り発車……。多くの国民の目に、政権の対応は後手後手、迷走と映った。

 朝日新聞の先月の世論調査では、首相が感染拡大の防止に指導力を「発揮している」と答えた人は24%で、「発揮していない」が66%に達した。内閣支持も33%と低迷。支持率の高さを力の源泉のひとつとしてきた政権にとって、袋小路に追い込まれていたといってもいい。

 第2次安倍政権は、民主党政権を含め、1年前後の短命首相が6代続いた後に誕生した。衆参のねじれを解消し、政治の安定を回復したことが、世論に好意的に受け止められたことは間違いあるまい。

 アベノミクスのもとで株高が進み、企業収益や雇用の改善につながったことも事実である。ただ、賃金は伸び悩み、国民が広く恩恵を実感できる状況ではない。内閣府は先月、12年12月に始まった景気拡大が18年10月に終わり、翌月から後退局面に入ったと認めた。コロナ禍の影響もあり、良好な経済という政権の金看板も色あせつつある。

 衆参の国政選挙では6連勝を果たした。しかし、その政治基盤を活用して、社会保障改革や少子高齢化対策などの難題に道筋をつけるまでには至らなかった。むしろ、巨大与党の「数の力」を頼んで、集団的自衛権行使に一部道を開く安全保障法制や特定秘密保護法、「共謀罪」法など、世論の賛否が割れた法律を強引に成立させた。

 外交・安全保障分野では、首脳間の関係を深めるのに長期政権が役立った側面はあるが、「戦後日本外交の総決算」をスローガンに取り組んだ北方領土交渉は暗礁に乗り上げ、拉致問題も前進はみられなかった。

 事実上、次の首相となる自民党の後継総裁選出の手続きは、二階俊博幹事長に一任された。自民党の党則では、特に緊急を要するときは、両院議員総会で選任できるとされており、執行部はこの方式を採用する方針だという。

 コロナ対応に切れ目があってはならないが、そうならないよう首相が当面の対策をまとめたのではないか。「政治空白」を避けるという理由なら成り立たない。全国の党員・党友が参加し、国民の目にもみえる総裁選を実施すべきだ。

 今回の総裁選では、安倍政権の政策的な評価のみならず、その政治手法、政治姿勢がもたらした弊害もまた厳しく問われねばならない。  野党やその支持者など、考え方の異なるものを攻撃し、自らに近いものは優遇する「敵」「味方」の分断。政策決定においては、内閣に人事権を握られた官僚の忖度(そんたく)がはびこり、財務省の公文書改ざんという、民主主義の土台を崩す前代未聞の事態を招いたことを忘れるわけにはいかない。

 懸念されるのは、安倍1強が長く続く中、自民党内で闊達(かったつ)な論議がすっかり失われたことだ。首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなった一昨年の自民党総裁選では、大半の派閥が勝ち馬である首相に雪崩をうった。

 最大派閥出身の首相の影響力に遠慮して、安倍政権の功罪がしっかり検証されず、政策論争そっちのけで、数合わせに走るようなことがあってはならない。国民の信頼を取り戻せるか、自民党にとってまさに正念場である。

◇ ◇ ◇

気分が悪くなるような社説である。羅列されたことはみな朝日新聞が大した根拠もなくあげつらってきたことばかりで、みな論破されている。森友問題など当人が朝日新聞に「騙された」と寝返っていることをみればどちらに非があったか歴然である。

最後に、大方の国民の率直な感想であり、長年ご苦労さまでした、といたわる産経新聞、阿比留瑠比記者の「走り抜いた最長政権 期待と批判、一身に受け続け 」を紹介する。

◇ ◇ ◇  

責任感の強さゆえに、冷徹に自身の現状を見つめた上での苦渋の決断だった。平成19年9月、同じ持病で第1次政権を手放したときは「やれるところまで、できるだけ頑張ろう」(安倍晋三首相)と粘った結果、臨時国会での所信表明演説後の辞任となって混乱を招いた。今回のタイミングでの辞任表明には、そのことへの反省がある。側近はこう語る。

◆第1次政権の反省

 「国民の命を預かる首相として、持病悪化の苦痛で政治判断を誤ることがあってはならないというのは安倍首相の信念だ。政治的良心による辞任だ」  高校生の頃に発症した潰瘍性大腸炎は、無症状の寛解期はあっても完治はしない。

第1次政権退陣後に発売された新薬の薬効で、「安倍1強」と呼ばれる史上最長の政権を築いたが、ついに限界の時が訪れた。  すでに体調に異変があった今月上旬の段階では、周囲に秋の臨時国会での反転攻勢を表明するなど、残る1年余の任期中の政権運営に意欲を示していた。

 それが中旬には症状が悪化し、一時は食事もろくにとれなくなった。その後、病状は回復傾向にあるものの、治療には時間がかかる。安倍首相は17日に慶応大病院で検査した後、周囲にこう漏らしていた。

 「私は持病と付き合っているからね」  本人にはどうにもならない病が理由なのだから、辞任はやむを得ない。どんな安定政権だろうと、いつまでも続くものではない。

◆不人気政策を断行

 ただ、安倍首相辞任の衝撃はやはり大きい。長く下り坂にあった日本経済が息を吹き返し、国際社会で存在感と影響力を増した一つの幸福な時代が、終わりを告げた喪失感は否めない。

今後の日本の針路は濃霧に覆われ見通せない。  日本が真の独立国になるための憲法改正、北朝鮮による拉致問題解決、デフレからの完全脱却…など、安倍首相だから実現に期待が持てた諸課題を今後、ほかの誰が担えるだろうか。

 集団的自衛権を容認する憲法解釈変更、特定秘密保護法制定などマスコミの総攻撃を受ける不人気政策を断行する信念が、どれだけの政治家にあるか。

◆悔しさ にじませ

 米国のトランプ大統領をはじめ各国首脳から厚い信頼を寄せられ、アジアだけではなく中東や欧州情勢についても意見を求められ、尊重される日本の首相が次にいつ生まれるか。  長年、歴史認識問題で日本を糾弾してきた中国の批判を静め、政治問題化し続けてきた慰安婦問題を韓国の国内問題化させ、米国の現職大統領の被爆地、広島訪問を実現させた。その手腕を、ポスト安倍候補に望めるのか-。

 もちろん、惜しまれ、宿題を残した道半ばでの辞任について、誰よりも悔しい思いをしているのは安倍首相自身なのは間違いない。  28日の記者会見で、未解決の拉致問題について語る安倍首相の目には、うっすらと涙がにじんでいた。  国民の多岐にわたる期待を一身に背負った。また、ときに不当なまでの厳しい批判を浴びた。さらに健康問題という時限爆弾を抱えながら、7年8カ月の長距離走を走り抜いた大宰相だった。(阿比留瑠比)

コメントは受け付けていません。