立憲民主党の枝野幸男代表は2日午後の党執行役員会で、代表職を辞任する考えを表明した。敗戦が明確になったあとも 「野党共闘には一定の効果はあった。おおむね理解をいただけている」と続投の意向を示していたが、これまで時の総理相手に、何かというと「任命責任」と辞任を求めていただけに、それはないだろうという声は党内外にあふれていた。
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は「野党がどういう責任を取るのか。枝野さんは代表を辞任するつもりはないと言われますけど、野党が政権選択選挙で負けたのに代表が、執行部が責任を取らないということならば、野党としても党として体をなさないと思いますね。いつも与党に対して責任、責任と言っているんですから。野党が唯一責任を取れる場面というのが選挙で負けた時に執行部が身を引くことでしょう」と迫っていた。福山哲郎幹事長も引責辞任する意向で立憲民主党首脳は総取っ替えになる。
/敗因は「立憲共産党」のこの二人
誰が考えても敗因は立憲民主党が9月末共産党と結んだ「合意」にある。衆院選で政権交代した場合、共産党から「限定的な閣外からの協力」を得るという。共産党は綱領で「日米安保廃棄」「自衛隊解消」を掲げる。枝野氏の「日米同盟を軸とした現実的な外交・安全保障政策を進める」という立場とは、大きく食い違う。「野合」そのものだ。
麻生太郎副総裁は「立憲民主党はいまや『立憲共産党』になった」。甘利明幹事長は「共産党が意思決定に直接、関与する政権は今までの日本にはなかった」と非難した。立民最大のスポンサーである、連合の初の女性トップとなった芳野友子会長は「共産党の閣外協力はあり得ない」と断言していた。
それにも関わらず、立民は全選挙区の7割以上にあたる213選挙区で共産党などと野党候補を一本化した。結果は自民党が想定外の勝利をおさめ、立憲民主党と日本共産党は想定外の大惨敗を喫した。2つの野党の合体について、支持したリベラル左翼のメディアや政治家よりも、国民の方が正確に理解していた。つまり、単なる政権交代への道ではなく、自由と民主主義の政治体制か、共産党の影響を強く受ける政治体制かの体制選択選挙そのものだったのだ。
事前予想では、メディアは自民党は公示前の議席数を大幅に減らすと報じた。自民党はこれを受けて獲得議席目標を「過半数の233議席の確保」に絞った。結果は261議席、絶対安定多数を得た。日本維新の会は4倍近くの41議席、公明党の32議席を入れて334議席。共産党と対立した3党が憲法改正に十分な数を得た。
他方、立民は大幅増を期待されたが、議席は14も減らして96だった。共産党も2議席減らした。大きく考えの異なる政党共闘のいかがわしさを国民が嫌ったのは明白だ。節操のない野党共闘の実態を国民は見抜いたのだ。
それにしても今回の総選挙、与野党で「大整理」が行われた。
与党では自民党の甘利明幹事長が小選挙区で敗北、比例で復活したものの潔く幹事長を辞任。自民党の元幹事長で石原派会長の石原伸晃氏も初めて敗北、永田町から去った。もっと前の総裁選に遡れば、「小石河連合」を組んだ小泉進次郎、石破茂、河野太郎という3人が粉砕された一件がある。脱原発、親中国、女系天皇を認めるという「自民党をぶっ壊す」一派が岸田文雄現首相に勝っていれば自民党はバラバラになるところだった。新中国の二階俊博前幹事長も切られた。
野党、立憲民主党の惨敗はそれ以上の「大整理」である。盤石の地盤だった辻元清美氏は維新の新人に破れた。他にも黒岩宇洋、今井雅人、川内博史各氏ら国会審議で政権批判やスキャンダル追及をしてきた「うるさい」のが落選した。
「泥舟」の社民党からうまく乗り移った辻元氏は「ソーリ、ソーリ!」と叫んで、もっぱらテレビ映りばかり気にするスタイルで運材rさせていた。昨年2月には、当時の安倍晋三首相に週刊誌報道をベースに質問し、安倍氏が「意味のない質問だよ」とやじを飛ばされたこともある。
黒岩氏は野党による官僚に対する「合同ヒアリング」の中心人物だ。「桜を見る会」前日に安倍氏の事務所が主催した夕食会をめぐる発信に対し、安倍氏が「真っ赤な噓」と反論したこともある。共産などとの「合同ヒアリング」は政府・与党の不祥事や政策の不手際があるたびに、関係する省庁の幹部職員らを会議室に呼び出して説明させる、いわばショーである。国会議員に強く反論できない立場の省庁職員を詰問する姿には、「やり過ぎだ」との批判も出ていた。
森友学園問題などで政府を追及してきた今井氏は、平成21年の旧民主党を振り出しに毎回政党を変え、いずれも比例復活で4回連続当選してきたが、立民で臨んだ今回は5回目の当選を果たせなかった。立民中堅は「最前線で批判ばかりしていた人が軒並み落ちた。路線を変えないと、支持は得られない」と語った。
ブログ子はかねて、「枝野幸男、福山哲郎、辻元清美、蓮舫がいなければ政党支持率はもっと上がる」と言ってきたが、今回蓮舫以外、みな姿を消した。きっと支持率は上がるだろう。ただ「蓮舫代表」だけはまっぴらだ。