「18歳以下のすべての子供に対する一律10万円給付」をゴリ押ししている公明党。いい加減にせよとの声は世に満ち溢れている。
選挙期間中、公明党の山口那津男代表は「“未来応援給付”を提案しております。“未来応援給付”を訴えております。“未来応援給付”をやります!」と連呼して32議席を獲得した手前、引くに引けないのはわかるが、「連立政権」をいいことに毎度自民党に抱きついては国の財布から人気取りのバラマキ政策を繰り返すこの党に、国民は怒りすら感じているのがわからないのか。
先の総選挙では維新と国民民主以外、みなバラマキ公約を掲げた。自民党も然り。ただ高市早苗政調会長は「自民党の公約は公明党とはまったく内容が違う。わたしたちは本当にお困りの方に経済支援をするというもので、そうでない方に支援をするということは書いてない」と弁明していた。
公明党が「10万円一律給付」に固執するのは、選挙で一番世話になった創価学会婦人部への「お礼」であろう。今回の与党に厳しかった衆議院選挙でも公明党の当選者は3人増の32人だった。婦人部(現在は女性部)から「あれだけ応援したのに何の見返りもない」と言われるから引くに引けない事情がある。「学会員だけに配れ」とは言えないから、一律ということになる。
結局、岸田首相が10日午前、公明党の山口代表と会談し、18歳以下への10万円相当の給付について、所得制限を設ける方針で一致した。夫婦と子ども2人のモデル世帯では、年収960万円以上の高所得層を対象から外すことで決着した。
官邸に入る山口那津男代表。バラマキを押し通した。
バラマキ批判に配慮した形だが、実際に給付対象から外れる世帯は全体のわずか1割程度にすぎず、ほとんど「一律給付」である。年内に現金5万円を先行給付し、来春までに残る5万円を子育て関連に使途を限定したクーポンを配布する。対象家庭には年内に公明党からボーナスが出るわけだ。
この日の自公トップ会談では、マイナンバーカードの新規取得者などに最大2万円分のポイントを付与することも確認した。公明は3万円相当のポイント付与を求めていたから、1万円分譲った。このほか、住民税非課税世帯に、これとは別に現金10万円を給付することでも合意している。
公明党の高笑いが聞こえるような「手打ち」だ。この結果、バラマキ対象は約2000万人。ざっと2兆円が国の財布から出ていく。
これまでも公明党は、地域振興券や給付金といった評判の悪い公約を掲げ、連立政権という錦の御旗を押し立てては、実現してきた。地域振興券は「子育てを支援し、老齢福祉年金等の受給者や所得の低い高齢者の経済的負担を軽減する」というのが公明党の名目で、市区町村が発行した。15歳以下の子供がいるとか、一定の条件を満たした国民に2万円分が配られた。およそ6200億円の財源は国持ち、つまり税金で7000億円。
自公連立の立役者だった野中広務が、「天下の愚策かもしれないが、七千億円の国会対策費だと思ってほしい」と語ったのは有名な話だ。
今朝(10日)の産経抄に「パンとサーカス」の話が出ていた。このコラムは小生がよく知る田中規雄論説委員が書いている。こうある。
▼「パンとサーカス」は、古代ローマ帝国の詩人の言葉である。市民が権力者からパン(食糧)とサーカス(娯楽)を与えられ、政治に無関心となったさまを揶揄(やゆ)したものだ。
▼矢野康治財務事務次官が月刊誌に寄稿した論文でも、「最近のバラマキ合戦のような政策論」を批判するのにこの言葉を使っていた。もっとも詩人の亡くなった後も、ローマ帝国は400年近くも命脈を保つ。滅亡の原因になったわけではなさそうだ。
▼作家の塩野七生さんによれば、パンについては共和制時代の「小麦法」が始まりだった。国家が一定量の小麦を買い上げ、市民に配給する。最低の保障とはいえ、少なくとも飢餓が原因の集団死はまったく起こらなかった。サーカスは人気取りだけが狙いではない。皇帝が競技場で観衆の反応を確かめる、現在の世論調査の機能も果たしていたという(『ローマ人への20の質問』)。
▼パンとサーカスには、ともかく目的と効用があった。単なるバラマキではなかった。それにひきかえ、公明党の主張はどうだろう。18歳以下の子供に対して、一律10万円相当を給付するという。(以下略)
前回、このブログで「こんな面白い総選挙見たことない」と書いた。何かというと「辞めろ」、「政権交代せよ」とほざいていた支持率わずか6%の立憲民主党の枝野幸男代表がその座を追われたことは欣快至極ではあるが、同時に維新が4倍近く議席を伸ばして公明党を抜いて第3党に躍り出た。憲法改正に前向きな維新、国民民主入れると改正発議に必要な3分の2議席に達した。
公明党はバラマキだけでなく、憲法改正に後ろ向きで、なにより親中派である。今回の総選挙で公明党擁護の長老は概ね消えた。そろそろ公明党を切って、維新と連立を・・・という時期である。