2月17日のJAXAの次世代主力ロケット「H3」初号機の打ち上げを注視していた。糸川博士のペンシルロケットに始まる日本の宇宙科学の歴史を思い出しながら。
結果はご承知の通りで、ロケットの機体システムが異常を検知し、補助ロケットへの着火信号が送信されなかったため、発射中止となった。ブログ子は白煙の中にロケット本体がそそり立ったままなので、これは電気系統の異常だろう、すぐ再打上げできると踏んで安堵した。
ところが共同通信の配信を受けている新聞では「失敗」と大きく見出しをとっていた。そんな目で見なくともよかろうと思っていたが、その後、JAXAの会見で共同通信記者の発言の馬鹿らしい内容を知り、今どきの科学記者のレベルはこんなものなのかと一気に噴火、この記事を書くことにした。
JAXAのH3プロジェクトチームプロダクトマネージャであるJAXAの岡田匡史氏が出席しての会見中、共同通信の記者が「失敗なんじゃないか」と追及した。これに対し岡田氏は「何か著しく不具合があったわけじゃないです。ロケットというものは基本安全に止まる状態でいつも設計しているので、その設計の範囲の中で止まっている。そこに照らし合わせますと失敗とは言い難いと思います」と丁寧にこたえた。
するとこの記者は「つまりシステムで対応できる範囲の異常だったんだけれども、起こるとは考えられなかった異常が起きて、打ち上げが止まった。こういうことでいいですね。わかりました。それは一般に失敗といいます。ありがとうございます」と突き放すように切って捨てた。
翌、18日の全国紙の見出しは以下のとおりだ。みな真っ当である。
<朝日新聞> 新型「H3」打ち上げ中止
<毎日新聞> H3発射直前で中止
<読売新聞> H3打ち上げ直前中止
<日経新聞> H3打ち上げ「中止」
<産経新聞> H3打ち上げ中止
ところが共同通信の配信が多い地方紙は揃って「失敗」となっている。如何に恣意的かわかろうというものだ。
何が何でも「失敗」にしたいこの共同通信記者には実業家の堀江貴文氏も「切れた」ようで、どこで調べたか「鎮目宰司」というこの記者の実名を明かして非難していた。
前々回のこのブログで首相秘書官の性的マイノリティーに対する発言を一方的に「オフレコ破り」した毎日新聞と共同通信を批判したが、この通信社は昔から「真っ赤っ赤」で有名だった。国や憲法や制度などを一方的に引きずり下ろすのを得意にしてきた。
我が山墅がある長野県の「信濃毎日」は昔、山路愛山が主筆で厳正中立の大言論を展開したものだが、今ではただの左翼紙である。ここばかりでなく地方紙の多くは共同通信の配信を受けているところが殆どで、政治原稿から社説まで「左」である。ブログ子の振り出しは三重県の津支局だったが、ここの「伊勢新聞」は労組の幹部まで共同通信から「配信」受けていたくらいだ。
地方紙が読者減でつぎつぎ倒れていて、畢竟、共同通信も収入減で社員300人削減など合理化を迫られている。まともなのが残っているのかと思いきや、こういう不出来な記者が末席を汚しているわけだ。
それにしてもこの記者の相手をした岡田匡史・プロジェクトマネージャーは立派だった。「きょうという日を待っていたミッションオーナーや、見守ってくださっていた方が大勢いる。申し訳ないと思っているし、われわれもものすごく悔しい。一緒に頑張ってきた人に残念な思いをさせてしまった。子どもたちも待ってくれていた。『ごめんね』と言いたい」と言葉を詰まらせて目頭を押さえた(写真左)。
たかだか2メートルほどのペンシルロケットの打ち上げから始まった日本のロケット打ち上げ技術は今や世界一流である。国際宇宙ステーションには日本人の宇宙船長が活動中だ。それを支えているのはこうした一途な技術者である。
共同通信の「鎮目宰司」記者は彼らにもう少し「敬意」をもったらどうか。