岸田内閣支持率下落の原因は日本の「国柄」を示せないからだ

岸田内閣支持率は共同通信の世論調査では28・3%(3~5日実施)にまで落ち込んだ。危険水域だ。その原因について、「1人あたり所得税と住民税で4万円減税」というしょぼい政策や総理や閣僚を含む「特別職」の国家公務員の給与を引き上げる「お手盛り」批判を挙げるメディアが多い。

何を馬鹿なこと言っているか。ブログ子もたった一回4万円減税などしょぼいと思う。が、ありがたがるのは公明党ぐらいでそんなことで政権批判する人間はいない。給与引き上げと言ったって総理の年額支給4000万円に対し「総理は年間で46万円、閣僚は32万円アップ」である。日本国を引っ張る対価としては微々たるもので返納などと言わず、堂々ともらえばいい。

岸田政権が評価されないのは、「鵺(ぬえ)のような」、つまり”何だかよくわからない”政権運営にある。安倍晋三政権にあったような日本という国の姿勢を世界に示す性根が見られないのである。

直近の例を挙げる。イスラエル・パレスチナ戦争とろくでなし国家、中国が沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内に無断で「海洋ブイ」を設置したことに対しいまだに撤去に踏み切れないでいる、まさにその鵺のような姿勢が国民に見透かされているのである。

ハマスの攻撃でイスラエル側に1400人の死者(その後ハマスの戦闘員がカウントされていたと1200人に修正)、パレスチナ側死者1万人超。

我が国の対応ときたら「イスラエル及びパレスチナ自治政府間の直接交渉が現在中断されていることを憂慮するとともに,双方に対し交渉の再開を強く要請する」である。 これはもう立派な戦争である。勝つか負けるかしかないのが戦争だ。それなのに『双方に自制を求める』はないだろう。

「G7の中で日本は欧米と違う。アメリカはユダヤの人たちの影響力があり、大統領選挙も控えている。イギリスは”三枚舌外交”の歴史、ドイツはホロコーストの歴史がある。日本は是々非々でいいのではないか」(外務省関係者)関係者)。この期に及んで日和見は許されないのに、こののんびりぶりは耐えられない。

ブログ子の私見だが思い切って国連軍の派遣を日本が中心となって働きかけできないか。ロシア・ウクライナ戦争を見てもわかる通り、国連が全く機能していない。常任理事国に拒否権を与えているためである。ソ連時代グロムイコ外相が容赦なく拒否権を行使して「ミスター・ニエット(英語のNO)」の異名をとったが今回もロシアは乱発している。それというのも国連組織そのものが第二次世界大戦の戦勝国会議であるからだ。ゆえに日本とドイツは常任理事国にはなれない。

これを改組する意味でも日本が先頭に立って音頭を取るべきだ。中東の石油に依存している日本はイスラム諸国に強く出られないのはわかるが、せめてこの機に国際政治の場で先陣を切ってほしい。

中東戦争では先進国はアメリカに倣ってイスラエル支持だったが、今回はパレスチナに肩入れする国際世論が多くの国で起きている。イスラエル建国時に世界で真っ先に承認したのはアメリカのトルーマン大統領だが、国の政財界、司法に多くのユダヤ人を抱え「特別な関係」(ケネディー大統領)は現在もそのままだが、シカゴなど多くの都市でイスラエルの強硬姿勢を非難するデモが起きている。

英ロンドンでも11日、中心部のハイドパークにパレスチナの旗や「フリー・パレスチナ(パレスチナに自由を)」などと書かれたプラカードを掲げ、50万人が「今すぐ停戦を」とシュプレヒコールを上げた。フランスのマクロン大統領も、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザの空爆や民間人殺害について「正当性がない」として停止を求めた。

ナチスのホロコーストの過去を持つドイツはイスラエル支持が「国是」でショルツ首相はいち早くイスラエル寄りの発言をしているが、今月4日にはベルリンではおよそ9000人が、政府にガザ停戦などを実現するよう訴えるデモを繰り広げている。

尖閣諸島に設置した中国のブイの問題だが、海上保安庁などの情報では、ブイは尖閣諸島の北西約80キロ、日中中間線の日本側にあり、直径が10メートルとかなり大きく、7月1日から2日にかけて中国の大型ブイ作業船「向陽紅22号」が設置していった。日本は「国連海洋法条約」違反を理由として外交ルートを通じて中国に抗議を行うとともに即時撤去を求めた」(松野博一官房長官)だけ。

11月1日の参院予算委員会で、日本維新の会の東徹氏が「日本の撤去要求を中国側が聞き入れないなら、実力で撤去すべきだ」と主張したが、上川陽子外相は国連海洋法条約など国際法に関連規定がないとして放置したまま。

しびれを切らした高市早苗経済安保相が「日本が撤去しても違法ではない」と私見を述べたが、その通りだ。上川外相の見解は「規定がないから撤去できない」だが、逆に言えば「国際法で、撤去してはいけないと書かれていないのであれば、撤去してもいい」となる。(政治評論家・高橋洋一氏)

青山氏は「中国側は、ブイを設置された後の日本側の動きを見ている。今回だけでなく、何度もやっているはずだ。ブイを撤去すれば中国は当然騒ぐが、それに対して覚悟ができているかの問題だ。日本が国家の〝意思〟を示すしかない」(夕刊フジで評論家・青山繁晴氏)。

9月26日、フィリピン沿岸警備隊は、同国のEEZ内である南シナ海のスカボロー礁に中国海警局が設置した「浮遊障壁物」を敢然として撤去した。フィリピンの方が国家としてよほど「毅然としている」ではないか。

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