1強多弱の功罪

長期政権へ呵々「大勝」

長期政権へ呵々「大勝」

総選挙での自民党圧勝の意味するところは、過去38年間の長きにわたって続いた「55年体制」が形を変えて「自民党の長期政権」体制がスタートしたと言える。

面白いと思ったのは戦後最低の投票率にもかかわらず自民党が圧倒的な得票率を獲得したことだった。ブログ子が選挙報道に携わっていた頃は、投票率が低いと社会党(社民党)、共産党、公明党に有利に働くのが常識で、事実そのように浮沈した。

ところが今回、安倍内閣の支持率は各紙とも51%前後と解散直後から投票日まで横ばい状態だった。その上最低の投票率だったにも関わらず与党大勝である。自民党が大勝した理由については、65%が「ほかの政党よりまし」を挙げており(読売)、消極的な理由だったのがわかる。「支持政党無し」のいわゆる浮動票の中身も民主党など野党より自民党に多く流れた。つまり内閣や自民党への積極的な支持によらない「熱狂なき圧勝」だったのだ。

しかし勝ちは勝ちである。野党は「大義なき解散」と騒ぎ立てたがこれも意味のない話である。解散は首相の特権である。大義があろうがなかろうが首相が勝てると見た時に打って出るもので、事実そういう結果になった。「馬糞の川流れ」で政党の名前が浮いては沈んだことも見放された原因だ。

受け皿になるべき民主党は国民の過去の民主政権時代へのアレルギーがまだ消えていないことが読めなかったことが海江田党首の敗残という惨めな結果を招いたのだが、辞任したあとの新しい党首選びで挙がっている名前も昔の名前ばかりで、真っ先に手を上げた細野が早くも反対派から昔フォーカス誌でやられた「山本モナとの路上キス事件」を蒸し返されて、あとは様子見ばかりという体たらくでは先は見えていよう。、

自公3分の2の325議席の達成はアベノミクスが成果を上げれば16年の参院選に向けてもプラスに作用しよう。万一参院で過半数を割っても憲法の規定で衆院における法案再可決が可能となり、自公政権の下野はあり得ない。二度にわたり総選挙で自民党を大勝に導いた・安倍晋三首相の長期政権の基盤が整った。

保守合同以来20回の総選挙で自民党が290議席を上回った例は池田勇人296議席、中曽根康弘300議席、小泉純一郎296議席、安倍信三294議席と今回の290議席の5回ある。いずれも長期政権だった歴史が今後を占っている今はアベノミクスばかりだが、来年早々公約である原発の再稼働、通常国会後半の集団的自衛権行使のための安保法制を断行しその後に憲法改正への動きになるのだろう。

自民党を割って出て行った連中の末路がわびしい。小沢一郎は二ケタいた子分が自分含めてたった2人。渡辺喜美は党が雲散霧消して自分も落選して司直の追及を受ける身に。亀井静香はかろうじて当選したもののたった1人の無所属ではもはや何一つできない。いずれもブログ子が政局のたびに追っかけ、あとの二人は親しく付き合っただけに政界の光と陰の非情さにうたた感慨あるのみである。

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