大韓航空の女副社長が引き起こした「ナッツリターン」事件、世界中の顰蹙をかったが、韓国人というものを考える上で大変参考になる。
米ニューヨークJFケネディ空港から韓国・仁川空港に向かう大韓航空機でファーストクラスに乗っていた同社の趙顕娥(チョ・ヒョンア)副社長(40)が、客室乗務員からサービスのナッツを袋に入ったまま出され、「なんというサービスするの」と叱りつけた。副社長は担当責任者を呼び、接客マニュアルで確認するよう命令したが、端末での検索に手間取ったため逆上、機内から降りるよう命じた。その間、副社長は大声で叱責して土下座までさせた。滑走路に移動していた旅客機は搭乗口に戻り、遅れて離陸したが250人の乗客には遅延の説明がなかった。趙副社長は、大韓航空を傘下にする韓国の財閥、韓進グループの会長の長女。何をしても咎められない育ち方をしたゆえの所業だが、さすがに国民からは総スカンを食い、航空法違反で韓国国土交通省に事情聴取を受ける騒ぎに。父親の趙亮鎬会長は記者会見し、「娘の行いを会長、父親として国民に謝罪する。しっかり教育できず申し訳ない」と述べ、系列会社を含め全ての役職から解任させる考えを明らかにした。国土交通省に出頭してきた趙副社長は、当初の勢いはどこへやら報道陣に「調べには誠実に臨む。心からおわびする」と小声で謝罪した。
有名な整形外科医と結婚した趙副社長は、生まれてくる子供たちが米国の国籍を取得できるようにと、2013年にハワイで双子の男児を出産した。出産予定日の2カ月前に米国に入国したという。この行動は2人の息子を韓国の兵役から逃れさせるためだったとして、韓国国内では非難を浴びている。 高慢な振る舞いは会長一族に共通のようで、同じく、大韓航空の副社長を務める弟の源泰氏は、2005年に車の運転のトラブルで70代の老女を口論の末に押し倒したとして立件された。12年には、私立大学の運営にからみ、市民団体に暴言を吐くなどしたとされる。子どもがそうなら親もそうとうなもので、会長夫人、つまり姉弟の母親が過去に空港で社員を大声でののしり、周囲の人々からやはり顰蹙をかった前科があると、韓国マスコミは暴き立てている。
強いものには腰を曲げ、弱いものには居丈高になる韓国社会を具現化した一家のようである。GDPの大半(70%)をわずか7つほどの財閥に依存するという韓国経済の歪みもあり、何から何まで財閥が支配している図式から「起こるべくして起きた」事件だといえる。
一方、青瓦台(韓国の大統領府)では、朴槿恵大統領の元側近による国政介入疑惑の文書が流出した問題で大騒ぎになっている。検察の捜査が進んでいて元側近のチョン・ユンフェ氏が検察に出頭して介入を全面否定したが一向に騒ぎはおさまらない。このチョン・ユンフェ氏というのはセウオル号事件のとき朴槿恵大統領の空白の7時間で密かに会っていたと言われる人物で、産経新聞の加藤達也前支局長が韓国紙を引用しただけで出国が止められ、起訴された事件の陰の人物でもある。
朴槿恵大統領はチョン氏について「かなり前に私から離れた人で、連絡も途絶えている」と、関係を否定した上で「チラシに出るような話に国中が揺れることは恥ずかしいことだ」と述べたという。
この「チラシ」、日本で新聞に挟んでばら撒かれるスーパーのチラシと同じ意味。黒田勝弘・元産経新聞ソウル支局長によると日本語と日本統治時代の建築物は何でも排斥する韓国でどういうわけか未だに生き残っている日本語だそうだ。もっぱら裏情報といった意味で使われるという。
朴槿恵大統領が口にした「恥ずかしいこと」を年末特集・韓国版風に並べてみると、上述の「ナッツリターン事件」と「産経前支局長起訴」のほかに色々ある。
セウオル号事件では船長の無責任ぶりが糾弾されるかげで報道されなかったが、ブログ子は見せかけの捜索が記憶に残る。現場海域にいち早くクレーン台船が4,5台到着したというのでずいぶん手早い捜索だなと思ったものだ。沈みゆくセウオル号にワイアをかけて沈没を防ぎ救助用のドックでも固定するのかと思った。船体にワイアを巻くのは潜水夫にとって難作業で熟練の技術がいるのものである。豈図らんや最後までクレーン船は仕事などせず、どこかに消えた。しばらく浮いていたのだから日本の「海猿」たちならもっと早く救出できたのだろう。
韓国軍は2010年3月の海軍哨戒艦の沈没事件を受け、新型の救難艦建造を急ぎ、12年9月、約40億ウォン(約4億2千万円)の高性能ソナーを備えたとの触れ込みで、3500トン級の新型艦「統営」が進水した。ところが備え付けられた高性能ソナーはそこらにある魚群探知機並みの性能だったというニュースには仰天した。ほかにも、北朝鮮との軍事境界線近くに配備されているK9自走砲など韓国の主力兵器の成績書偽造が次々と発覚。40社以上が摘発され、防衛事業庁長官が更迭され、大統領命令で大規模な捜査本部がつくられ、過去の政権の実力者も関与した大型疑獄事件に発展する可能性が出てきている。自国の安全保障の最前線でインチキがまかり通る国など聞いたことがない。焼けた国宝、南大門を復元したはいいが、中心の柱のコンクリートから石やガラクタがぞくぞくと出てきて安全性が問題になっている国柄である。対馬には韓国から僧侶など4人の窃盗団が入り込み重文の仏像や経典を盗みだしたところを船着場で逮捕されている。「恥ずかしいこと」だらけである。