中国が自己開発したと称しているステルス戦闘機「殲31(J31)」は米国の「F-35」ステルス戦闘機のパクリだと言われていたが、それを実証する出来事が起きた。アメリカから設計図を持ちだそうとした中国人技術者が逮捕されたのだ。
米東部コネチカット州の連邦地検は10日、コネティカット州在住の中国国籍で米国永住権を持つユー・ロン容疑者(36)を米国などが開発中の最新鋭ステルス戦闘機「Fー35」に関する情報を盗み出し、中国に持ち出そうとした疑いで起訴したと発表した。
ユー・ロン容疑者は11月5日、中国へ帰国するためニュージャージー州のニューアーク国際空港で乗り継ぎをする際、税関の荷物検査で、米国外への持ち出しが制限されているF35の機体の素材として使われているチタン合金に関する資料を持っているのを摘発された。
同容疑者は2008年8月から今年5月まで、コネティカット州の米航空機エンジン大手プラット・アンド・ホイットニー(P&W)で、F35に搭載されているF135エンジンなどの製造に携っていた。この間に資料を複写し、持ち出したとみられている。
F35をめぐっては司法省が7月、米航空機大手にハッカー攻撃をかけ情報を盗み出したとして、中国人実業家らを起訴。米紙は、国防総省が中国からとみられるサイバー攻撃を受け、設計情報などが流出したと報じていた。
F-35は、技術的には驚くべき高性能な戦闘機であり、空の支配者になるとうたわれてきた。だが計画の進捗は予定より7年も遅れ、開発費用も当初の予算を1670億ドル (約17兆1000億円)も超過している。米国以外ではオーストラリア、英国、カナダ、デンマーク、イタリア、オランダ、ノルウェー、トルコの8か国がF35の開発計画に参加していてイスラエル、日本、韓国、シンガポールが導入を決定または導入に関心を示している。 「Fー35」は開発中なのだが中国ははやばやと「殲-31」の自己開発に成功したとして2012年10月に初のテスト飛行を行った。製造会社である中国航空工業の社長は、「殲-31」が米国の最新鋭戦闘機である「Fー35」を制圧できる能力を備えたと、誇示していたものの、あまりにそっくりで当初からパクリだと言われていた。形はすぐに真似できても機体を構成する最新鋭の合金、炭素繊維等の技術も持ち出さねばならず、持ちだしたとしてもそれをつくる裾野の産業技術がないと出来ない。そのチタン技術の持ち出しを図ったというのだから、やっぱりなあ、というニュースではあった。軍事の世界ではソ連の時代からアメリカの最新鋭戦闘機のそっくりさんが軍用機からはては民間機までパクられていたから別に珍しくない。中国ばかりでなく韓国も水陸両用車などアメリカの兵器のパクリをせっせと行っている。ブラックボックス化して防ぐのだが、ばらしてみたものの復元できなくなってバレた。日本はもっぱら盗まれる側で、潜水艦技術、戦車、はては民間の東レが持っている炭素繊維技術(軽量機体に)まで各国に狙われている。
盗まれるのは軍事技術ばかりではない。同じ日のニュースで、エボラ出血熱の治療薬として期待されている富士フイルムホールディングス(HD)の経口薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)の模造品を、中国企業が早くも生産している疑いがあることが報じられていた。製造元の中国製薬大手、四環医薬は「薬は中国人民解放軍の研究機関が、5年前から研究開発してきたものだ」と主張しているが、富士フイルムHDは2004年からアビガンの関連特許を中国で取得しており「公開している特許情報を見て製造された可能性が強い」とみる。同社は10月、在日中国大使館に調査を求めた。特許侵害が確認されれば製造差し止めを求めて提訴することも視野に入れているものの、相手は知的財産権の保護に積極的とは言えない国だけに握りつぶされる公算が大である。
模造薬とみられる薬は、中国国内でもまだ臨床試験の許可は得ていないのに、はやくもエボラ出血熱の広がりに悩むアフリカ諸国へ「中国自前の開発」として出荷されているた模様だ。いやはや、ではある。