ロンドンの大泥棒にうなる

イギリス映画「マダムと泥棒」(1955)はブログ子が今でも思い出し笑いする傑作泥棒コメディーである。

老婦人が営む下宿に五人の男たちが部屋を借りる。彼らは楽団員でここで練習をさせてほしいというが、実は現金輸送車を狙う強盗団。お節介な老婦人に邪魔されながらも彼らは大金をせしめる。ところが仲間割れをして次々消される。最後に残った一人が片付けた相棒を鉄橋の上から貨物列車に投げ落とす。ニンマリする男の頭上に突然信号機の腕木が・・・。残された大金を警察に届け出た老婦人は署員に相手にされず、そうですかそうですかそれは好きに使って下さいなと言われて立ち去るおばあちゃん。

Hatton-Garden1アレック・ギネスとピーター・セラーズなど曲者ぞろいのセリフと表情は今でも大笑いする 。今回のロンドンの宝石街のハットンガーデン貸金庫からダイアモンドなどの宝石、時計など360億円を持ち去った事件は、イギリス史上最悪の盗難事件だというから笑ってはいけないのだろうが、鮮やかなものである。

英ロンドン中心部で3日から6日にかけての復活祭(イースター)の連休中、多くの宝飾店が利用している貸金庫から大量の宝石や現金が盗まれた。下は「Sun」紙のイラストだが、

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・泥棒一味は、復活祭の週末、およそ70の貸金庫があるハットンガーデンセーフデポジット社に狙いを定めた
・犯人たちは①エレベーターのシャフトをロープで垂直に下って、②地下金庫室の厚いドアを鋭利な器材で突破、③46センチもある金庫をガスバーナーのようなもので焼き切って中に入った。
・中に入ってしまえば宝の山。④鍵のかかった貸金庫を次々破壊して金、宝石、ダイア、時計などを袋に詰め込んだ。開けられた貸金庫は約60個。連休中なので多くの客は安全のために預けていたので被害は大きかった。
・金曜日に警報が鳴って警備員が巡回したが内部までは確認せず、誤報と思って立ち去った。監視カメラの記録も持ち去られたという。
・どこから脱出したのかわかっていないが、専門家は『高度に組織化された』ギャングで抜かりなく販路も確保していると思われ多くの宝石はすでに国外に持ちだされていると見ている。

50年前、現在の価値で100億円にものぼる途方もない額の現金を強奪し、その後、1億2千万円という破格の懸賞金を掛けられながら、世界中を舞台に大胆不敵な逃亡劇を繰り広げた世紀の大列車強盗事件の犯人、ロナルド・ビッグズは2013年12月18日、ロンドンの介護施設で84歳で死んだ。イギリスというと紳士の国というイメージで捉えられるが、実はこのような大掛かりな窃盗、強盗事件が多い。

ブログ子も経験したがロンドンのヒースロー空港は旅行者のカバンが蒸発したり開けられたりする事件が多い空港として有名だ。なにしろ輸送にあたる従業員が組織的に犯行に及んでいたという(過去の例)のだからどうにもならない。イギリス紙を読んでいるが、事件のその後は杳としたままである。

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