人文科学の切り捨ては間違いである

文部科学大臣は6月8日、国立大学法人が法科大学院の見直しや、教員養成系学部・大学院と人文社会科学系学部・大学院の廃止や社会的要請の高い分野への転換に取組むこと、グローバル化の推進などの要請について通知した。

ただでさえ「三百代言」の跋扈が国を誤らせていることはテレビを見ていてもわかるから出来の悪い法科大学院を廃止させるのはわかる。少子化なのだから教員養成学部を減らすのも当然だ。わからないのは「人文社会科学系学部・大学院の廃止や社会的要請の高い分野への転換に取組むこと」を盛り込んだことだ。

審議会でどこの阿呆が言い出したのか知らないが、金にならない学問は切り捨てるというのである。各大学法人は、この通知を踏まえて中期目標・中期計画の素案を作成し、平成28年3月までに中期目標を文科相に出す。積極的に取り組む大学に対し、運営費交付金を重点配分する仕組みを導入するというから、危機は目の前である。こんな愚策は即刻潰さねばならない。

なぜダメかブログ子がくどくど書くよりも一刀両断でこの問題を断罪した名論文がある。山本夏彦翁亡き後、愛読している数学者でありエッセイストの藤原正彦の「管見妄語」(週刊新潮)の「国家百年の誤り」である。テキストにしたものがないのでコラムをスキャンしたものを掲出する。(下の画像を2度クリックすると拡大されます

クリックで拡大

クリックで拡大

とくに最後の「文学、芸術、数学、理論物理など、実用に役立たぬ分野の栄える国だけが技術革新を成し遂げてきた」とあるところを再三再四、熟読玩味してもらいたい。

コメントは受け付けていません。