6月7、8両日にドイツ南部のエルマウ城で開かれた主要国首脳会議(サミット、G7)での討議の詳細なやり取りの内容が漏れてきはじめた。安倍晋三首相が中国のアフリカにおける野放図なインフラ投資の実態を具体的に紹介し、他の首脳も同調したという。
「アフリカにおける中国の援助は、アフリカの人々のために本当に役に立っているのだろうか。中国はアフリカやアジアの腐敗の温床になっている。援助先の高官に賄賂が贈られている問題を皆さんもご存じでしょう。経済利益があっても、G7が片目をつむってはいけない」とたたみかけた。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の問題でも、首相は「AIIBは腐敗防止のガバナンスが不十分だと思っているから、日本は入らなかった」と説明した後、事務方の準備していた書類にはない話を始めた。
「中国はフィリピンが『いらない』と言うのに金を貸し付け、南シナ海でトラブルが起きると『すぐに全額返せ』と言ってきた」。 「ミャンマーで『難工事になるから無理だ』というのに、無理やりお金を貸し付けて山奥にダムを造らせて、結局途中で工事は中断してしまった」
その上でAIIBに関し「一件一件きちんと審査しないし、環境や人権に配慮しないのではないか」と問題提起した。AIIBにすでに参加表明した一部首脳は「わが国は日和見だった」と釈明。議長国ドイツのメルケル首相は「G7でAIIBに入っていないのは日本と米国とカナダ。自分たちは入ってしまった」とこぼしたという(産経)。
ブログ子は特にアフリカでの中国のデタラメぶりを指弾した点を大きく評価したい。歴代首相でアフリカ問題に触れたのは初めてではないか。
中国がアフリカ諸国との関係強化を築く表向きの理由は、アンゴラ、ナイジェリア、スーダン、ケニアなどからの石油資源の調達だとされている。中国は経済発展に伴い資源の確保に躍起になっており、アフリカ諸国に限らずオーストラリアやベネズエラなどあらゆる資源国との関係を強力にしようとしている。もう一つの目的は国連での中国外交の協力を取り付けることにあるとされている。つまり、台湾の独立問題と日本の常任理事国入りを阻止する目的だ。アフリカ各国も1票を持っているので、一気にアフリカ諸国を取り込もうとの戦略である。
石油輸出国であるアンゴラは人権問題がある国だと非難されている。また、ケニアは汚職問題で揺れており、スーダンは人権問題で内乱が起きたとして国連制裁まで議論された。これらの国々に対して中国は「内政に干渉せず、援助を拡大する」「援助にはいかなる政治条件もつけない」という方針で援助を決めている。また、アフリカ各国政府軍側へ武器を供与していることも欧米が強い懸念を示している点だ。さらに中国政府の援助外交と中国国営企業の進出事業が一体化しているという批判もある。いわゆるひも付き援助だ。
ブログ子が毎度からかいの対象にしているジンバブエというムカベ独裁国家がある。国家破綻していて天文学的なインフレに陥っていることで有名で、1米ドル=3京5千兆ジンバブエドルとなり、今年ジンバブエ政府は公式に通貨としての使用を廃止決定し、6月から回収を開始した。自国通貨を「紙くず」と認めたのだ。「100兆ジンバブエ・ドル」は市場ではタダ同然だが土産物店では2000円しているという。
大統領夫人は海外でブランド品を買いあさり、それを撮ろうとするパパラッチをダイアの指輪で切りつけるという凶暴ぶりである。彼女の前夫は自分の女房をムカベ大統領に提供した功績で現在中国大使をしている。彼を通して香港に別荘をもたせたり、とっくに破綻している国に経済援助を続けて間接支配しているのが中国なのである。売るものがないのでジンバブエは今年2月に27頭の象を、中国の動物園に売却する始末。自然保護団体は問題視するが4万頭も国内にいるからそのくらいいいだろうという態度である。
アフリカでの中国人の住居は最高級住宅地に構えている場合が多い。タンザニアでは「タンザニアの森の木を中国向けに強引に伐採してしまったので、タンザニアの森林は半減した」と中国人嫌いが増えるばかりだという。