ブログ子は10月中旬山を下りた。山(八ケ岳)に上がって足掛け4か月、パソコンもなければ新聞も何日か遅れで目にする生活だったが、それみたことかと思わせられたのが「韓国ポスコ、新日鉄住金に完敗」のニュースだった。
このブログでも何度か取り上げて、日本での裁判(ポスコの日本法人相手なので東京地裁)なので勝算あり、2014年12月にも判決が出ると書いてきた。今回9月15日付の読売新聞のスクープだったので中央紙は押しなべて小さい扱いだったが、ブログ子は行きつけの温泉、長野県小海町の八峰の湯で記事をを読んだ。下山して1面トップだった読売の記事を探したが見つからないので以下、夕刊フジからの転載である。こちらは読売報道を受けて悔しそうに報道している韓国紙の報道を受けた形になっている。
韓国の鉄鋼最大手ポスコに特殊な鋼板の製造技術を盗用されたとして、新日鉄住金(旧新日本製鉄)が東京地裁などで起こした訴訟をめぐり、ポスコが新日鉄住金に和解金の名目で3000億ウォン(約304億円)を支払う方針だと韓国紙が報じた。韓国企業が海外企業の機密侵害について支払う金額としては過去最高レベルとなり、四半期で赤字になる恐れもあるという。一時は日本企業を上回っていた業績も低調で、株価も急落、韓国の検察当局から捜査を受けるなど創業以来最大の危機を迎えている。
ハンギョレ新聞によると、ポスコは今後、鋼板の輸出の際に技術使用料を支払い、地域別の輸出量も新日鉄住金と協議する。新日鉄住金は日本や米国などで起こした関連訴訟を取り下げることにしたという。
訴訟の対象となったのは、電気を家庭に送る変圧器などに使われる「方向性電磁鋼板」。電力インフラに欠かせない変圧器の心臓部である「鉄心」に使われ、技術の粋を凝らした“鉄の芸術品”ともいわれる。旧新日鉄の独壇場だったが、2005年ごろからなぜかポスコの製品技術が急激に向上。シェアも拡大してきた。ポスコの技術盗用疑惑が浮上したのは07年。韓国・大邱での刑事訴訟で、ポスコの機密情報を中国メーカーに流したとされるポスコ元社員が「技術は、もともとは新日鉄のものだ」と衝撃的な証言を行った。
旧新日鉄は、製造技術を持ち出したとされる元部長級社員の自宅から、ポスコとの通信履歴などの証拠を裁判所を通じて確保。不正に入手した情報を基に同品質の製品を造ったとして12年4月、ポスコなどに約1000億円の損害賠償と製造販売の差し止めを求める訴訟を起こしていた。
3000億ウォンの和解金負担はポスコにとって深刻だ。14年の最終利益5566億ウォン(約565億円)の約54%にあたる。前出のハンギョレは、「和解金の支払いが第3四半期の業績に反映されると四半期の業績が赤字となる可能性が高い」とするポスコ幹部の話を紹介した。
業績への打撃は一時的なものにとどまらない。ポスコは今後、方向性電磁鋼板の技術を使う際には新日鉄住金側に使用料を支払うことになるため、輸出競争力で劣ることになるのは確実だ。
週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「ポスコはそもそも旧新日鉄の前身である八幡製鉄や富士製鉄から技術支援を受けたことで始まっている。その後、独自の基礎技術を育てないまま成長してきたツケがここにきて一気に噴出しているのではないか」と指摘した。
漢江の奇跡は1965年、韓国は日本と日韓基本条約を結んだことにより、日本から無償金3億ドル・有償金2億ドル・民間借款3億ドル以上(当時1ドル=約360円。現在価格では合計4兆5千億円相当の援助で成り立った。同時にポスコ(浦項)の高炉建設など惜しみない技術援助でその後の韓国の自動車(薄板)、造船(厚板)の基礎になったのだが、感謝するどころか自国技術として世界に売り込みを図るなど中国と同じように「恩を仇で返す」所業の数々は目に余るものがあったが、今回の「敗訴」(和解というが勝算がないから和解に持ち込んだというのが正解だ)により、誰のおかげで発展してきたか白日の下にさらされた。