国連は世界平和への唯一のよりどころと思っている人が多いが、どうしてどうして、権謀術数うずまく伏魔殿である。今年10月、中国がユネスコに申請した「南京大虐殺の文書」というのが、日本政府が懸念を伝えたにもかかわらず、記憶遺産に登録されたばかりだが、こんどはわざわざ日本に来て「日本の女子中学生・高校生の13%が援助交際に関わっている」とのたまった国連特別報告者がいる。
ブログ子は日本記者クラブの会員なので事前に案内があったが、およそ触手が動くテーマでなかったのでメールはゴミ箱に入れた。後日その発言内容を知って仰天した。
発言は「児童の性的搾取問題の専門家」という、マオド・ド・ブーア=ブキッキオ女史が10月26日に東京・内幸町の日本記者クラブで行った会見で飛び出した。女史は「日本には多くの性的搾取の形態がある」として、違法とされていないものの深刻な性的搾取につながる危険性の高いものとして援助交際を挙げ「女子生徒の間で流行(はや)っており、およそ13%が関わっている」と述べた。
女史はオランダ人だが国連の「子どもの売買、児童売春、児童ポルノ」に関する特別報告者として公式に来日したので日本記者クラブでの会見となったのだが 「13%」の根拠については何も説明なし。産経新聞がジュネーブの国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に問い合わせたところ、「13%」を「概算」と表現した上で「残念ながらこの収益の大きいビジネスに関わっている未成年者数の公式な概算はない」と回答した。また、特別報告者が「概算」に着目したのは援助交際が「憂慮すべき現象」であるからで、関係機関による実態調査の必要性が強調されるべきだと説明したそうだ。
ブーア=ブキッキオ女史の発言を問題視した山田太郎参院議員(日本を元気にする会政調会長)は外務省、警察庁、厚生労働省、文部科学省にも確認したが、根拠となるようなデータはないとの回答を得たという。根拠もなしに数字を出して「実態調査の必要性がある」とは驚いたいいぐさだ。
また記者会見では通訳が女史の「サーティーン・パーセント」を「30パーセント」と誤訳するおまけ付き。かくのごとき怪しい人物だが、国連特別報告者による会見での発言であるだけに、山田氏は「多くの人が事実だと思う」と懸念しており、外務省を通じて国連に発言の訂正と謝罪を求める申し入れを行うという。
ところで、「南京大虐殺」の記憶遺産登録の方だが、拠出金の支払い停止論の高まりにユネスコ(国連教育・科学・文化機関)も驚いたのか世界記憶遺産の登録手続きの見直しに着手したという。登録候補の文書の内容に複数の国が関与する場合、関係国で事前に協議した上で申請する仕組みを義務化する改革案が検討されていて、来春のユネスコ執行委員会で改革案が承認されれば、次回2017年の記憶遺産の選考から適用される可能性がある。
ユネスコといえばブログ子が現役のころ、アフリカから選出されたユネスコのトップがニューヨークの高級ペントハウスを借り切って贅沢三昧をくりひろげ、怒ったアメリカが拠出金を拒否したことがある。現在の潘基文事務総長は無能の評が高まるばかりで、次期韓国大統領選しか頭にないようで中国の抗日戦争勝利70年記念式典に朴槿恵大統領と並んで出席したり、国連事務職員に韓国人を割り当て以上に採用したり選挙準備に余念がないようである。
国連を理想の高みに置いている方々は、国連というのは以上のように「その程度の組織」であることに括目(かつもく)した方がよい。