笑える「孔子平和賞」

ノーベル平和賞に対抗して中国の大学教授らが創設した「孔子平和賞」の今年の受賞者に、ジンバブエのムガベ大統領(91)が選ばれたが、当人は受賞を辞退した。この賞は「中国の価値観で世界平和に貢献した人物」に贈られるそうだが、選ばれた人物を見ると毎年、笑える。そのせいか、たいていの受賞者は世界の笑いものになりたくないのだろうが早晩、辞退している。我が日本の村山富市元首相が最終選考まで候補として残ったものの、健康上の理由で辞退した。受賞式風景をぜひ見たかった。残念だ。

ムカベも村山富市も断る「孔子平和賞」

ムカベも村山富市も断る「孔子平和賞」

ジンバブエのでたらめぶりは毎度このブログでも取り上げているのでご承知の方も多いだろうが、繰り返す。1980年のイギリスからの独立時(旧国名ローデシア)から30年以上権勢を振るい、欧米から「独裁者」と非難されているムガベ大統領だが、中国の手厚い庇護のもと君臨して来た。昨年6回目の「再選」を果たしたが、側近を一度に8人粛清したりの強権と、投票箱すりかえという出鱈目な選挙だった。

ムガベ夫妻は香港とシンガポールに豪邸を所有しており、国民が飢えて死にかけても自分たちだけは贅沢三昧。グレース夫人というのが曲者で前夫と別れて、40歳ちかく年齢の違うムガベ大統領と再婚したのだが、内実は大統領が見染めてダンナから取り上げたもの。この前夫はその「功績」で現在、北京駐在ジンバブエ大使である。夫人はコンゴのダイヤモンド鉱山を所有していて、指にはそのでっかいダイアの指輪が輝いている。気が強くてパリやNYで買い物をしている姿を撮影していたパパラッチが追いかけられ、その指輪でバッサリ切られて大怪我をしたこともある。

喜んで受賞するかと思いきや今回は辞退した。ジンバブエのメディアによると、ムガベ氏の報道官は孔子平和賞が中国政府と無関係であることが分かり、関わらないことに決めたという。

「孔子平和賞」は、ノーベル平和賞を人権派の劉暁波が受賞したのに対抗し て、中国が急遽でっちあげたもので、賞金も僅か10万元(190万円)。2010年12月に「突 如」設立が発表され、第一回の受賞者が台湾の国民党政治家、連戦 (国民党名誉主席、親中統一派)だった。連戦は狐につままれたような表情で、コメ ントもせず、授賞式に出席しなかった。

世界の冷ややかな目に、その後の選考は中国政府系の機関を離れ、香港 の「孔子平和研究所」とかいう民間団体に移管された。

第2回の受賞はプーチン、3回目はアナン国連前事務総長、4回目は釈一誠 という中国仏教界指導者という写真も公表されなかった人物。第5回目は鳩山由紀夫の名前も挙がっていたが、キューバのカストロに決 まった。カストロ議長さえ、授賞式に出席しなかった。

そして今年の6回目は日本の村山富市元首相とジンバブエのムガベ大統領に授与 されることが決まったが、村山の辞退に引き続き、かのムガベも辞退した、という次第。ついでに、今年ムカベ大統領の他に孔子平和賞の最終候補に挙がっていたのは、富豪のビル・ゲイツ氏や潘基文国連事務総長、韓国の朴槿恵大統領ら9人という。

顔ぶれを見ると、選ばれるのが「恥」というのが「孔子平和賞」の実態である。

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