夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定について最高裁大法廷は合憲とする初判断を示した。夫婦が同一姓にすることは社会に定着し「家族の呼称として意義がある」と認め、「強制」などとする見方を否定した。また姓を変えることの不利益は旧姓の通称使用が広まることで「緩和され得る」とした。
夫婦同姓は、けっして男女差別を助長したり、個人の人格を傷付けたりするような制度ではないことが明確にされたわけだ。原告団長の塚本協子さん(80)は「名前は譲れない命そのもの。別姓を望む人たちを救済してください」と訴える。榊原富士子弁護団長は、「氏は人生に深く根ざし、失えば個人の尊厳が失われる」と叫ぶが、はたしてそうだろうか。
「別姓を望む人たち」は通称使用でなんら不自由なく活躍している例はブログ子の周りの女性記者にもたくさんいる。2、3度再婚してその都度姓を変えていたのではやってられないという人や、旧姓で名前が売れている人だが、ことさら「救済」する必要があるとは思えない。現行で十分だ。「名前は命そのもの」「氏は人生に深く根差す」‥その通りではあるが、ことさらに言い募る別姓論者の方が家族制度を破壊するのではないか。
最高裁判決はメディアのスタンスもあぶりだした。翌日の紙面を見ると。「司法の踏み込んだ判断に期待した人たちからは落胆の声が漏れる。女性の社会進出が進み、変わり続ける現実に、法律はいつ追いつくのか」(毎日新聞)。「判決は日本での女性の権利が後退したと見なされる。日本は夫婦別姓が法的に認められない数少ない先進国だ」(英紙ガーディアン)。
朝日も、15人の裁判官のうち、反対した女性裁判官3人全員と2人の男性裁判官に焦点をあてて「女性のみが自己喪失感などの負担を負っており、例外規定を認めないことは憲法が保障する個人の尊重や男女の平等に根ざしていない」という反対意見や「違憲とするだけでなく国の損害賠償責任も認めるべきだ」(山浦善樹裁判官)などをことさらに取り上げている。朝日の社是もまた夫婦別姓であることが見え見えである。
共産党の穀田恵二国対委員長は「判決は夫婦同姓の強制を行うことになり、女性差別の規定。不当な判決だ」と語っている。夫婦別姓論者はそろって共産党と同一轍(わだち)であることを見ると、彼らがもくろむところもまた見えてくる。