こちらも まずはよかった「産経前支局長に無罪判決」

韓国の朴槿恵大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に対する判決公判が17日、ソウル中央地裁であり、李東根(イ・ドングン)裁判長は無罪判決(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

ブログ子は法廷が有罪判決を出した場合、国際関係の中で韓国がどれだけ孤立無援になるか考えると、まずありえないとは思った。ただこの国が政府も司法も「反日無罪」一本やりであることから『執行猶予付き有罪判決』の政治的決着に出るのではないかと憂慮した。これまでの例でも枚挙にいとまがないからだ。

無罪の判決を受け現地で会見に臨む加藤達也前ソウル支局長

無罪の判決を受け現地で会見に臨む加藤達也前ソウル支局長

ところがはっきりとした無罪判決だった。李裁判長はソウル大法学部卒の49歳。ドイツの司法制度に関する著作があり、国際感覚に優れているとの評価がある人物だったことも幸いした。アメリカはじめ自由主義国家から韓国の「報道の自由」のあり方に山のような憂慮が寄せられたことも大きかった。誹謗目的の有無が焦点となる中、米国人記者のドナルド・カーク氏、西日本新聞の植田祐一ソウル支局長、上智大の田島泰彦教授が弁護側証人として出廷し、「刑事訴追されなければならないような記事ではない」などと証言したことも大きく勘案されたと思う。

誰が考えてもおかしな裁判であった。名誉毀損事案は日本では当事者の告発が普通だか韓国では、右翼団体リーダーの告発でソウル中央地検が情報通信網法における名誉毀損(7年以下の懲役または5千万ウォン=約530万円=以下の罰金)で在宅起訴した。市民の告発で受理される不可思議。であるならば、朴大統領が否定すればよさそうなものだが今に至るもだんまりというのも情けない話である。大統領府の意思を疑われても仕方がない。これくらいの事案で加藤前支局長を長期間出国停止にしたこともうなづけない。

とびきり仰天したのは裁判の冒頭で披瀝された韓国外交省が検察を通じて裁判所に提出した要請という文書である。「日本側からは政経あるいは政府関係者を含む各界の人々が多様なチャンネルを通じ、韓日国交正常化50周年にあたり韓日関係改善のなかで、事件が相当な障害要因になっていることを指摘、両国関係発展という大局的な次元で、日本側の要請を真摯に考慮されることを望みたい」というのだ。

行政が司法に要請など日本ならありえないことである。つまりこの国では日常茶飯事的に大統領府や世論や行政が司法に介入しているのである。こんなことでは彼らのいう「従軍慰安婦」なるものの先行きもすべて政治的パフォーマンスであることになる。

前に書いたが、ブログ子は後輩である加藤達也記者とは神田で何度も一緒に呑んだ仲である。記者会見で見るようなしっかりした好青年である。原稿もしっかりしていて将来が嘱望される。落ち着いたらもう一度呑みに行きたい。

 

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