新聞の見出しには「安倍首相マジ切れ!」とあった。ブログ子もテレビ中継を見ていたが、下司な質問にだんだん腹に据えかねていく首相の表情が伝わってきた。民主党の緒方林太郎というオソマツ議員は、かつて「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」家族会)の副代表を務めた蓮池透氏が書いた「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」(講談社)という本を持ち込み質問したのだが、著者に取材したのならともかくただ本にこう書いてあるがどうだ、というだけ。新聞記者ならこんなことをしたら一発でジャーナリスト失格の烙印を押されるところだが、この議員は臆面もなく議場で首相にぶつけた。
その前に蓮池透という人のぶったまげるような「変節」があって家族会から強制退会させられていたことも知らない人が多かったと思うので付け加えると、弟が拉致されたときこの人は東京電力社員で、その後出向先の日本原燃では燃料製造部副部長に昇進し2006年には東京電力原子燃料サイクル部の部長にまで出世、福島第一原発の3号機と4号機の保守を担当していたほどの原発通。はじめは北朝鮮強硬派だったが次第に軟化、同時に安倍批判に回り現在では表題のような著作やサヨクへの接近が目立つようになっていた。「弟が帰国したので目標を失った」と酷評する人もあるほどだ。東電も退社、2010年には家族会から退会処分を受け、3人の子供をもうけた夫人とも離婚しているという。
新聞記事によるとやり取りは以下だ。(産経)
安倍晋三首相が12日の衆院予算委員会で、声を荒らげて激怒する場面があった。きっかけは、野党議員の「(首相は)拉致を使ってのし上がったのか」という誹謗(ひぼう)中傷ともとれる質問。首相は当初、「議論する気にもならない」とかわしていたが、平成14年の拉致被害者帰国の経緯をめぐる自身の説明に異論をはさまれると「私の言うことが違っていたら、国会議員を辞める」と自らの進退にまで言及。夏の参院選を意識し、国益を度外視しても政敵の実績に傷をつけようと試みる野党の姿勢に、最後は堪忍袋の緒が切れたようだった。(沢田大典)
質問したのは民主党の緒方林太郎氏。緒方氏は、拉致被害者の蓮池薫さんの兄で家族会元事務局長の蓮池透さんによる著書「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」(講談社)を引用。「拉致問題はこれでもかというほど政治利用されてきた。その典型例は安倍首相だ」との一節を紹介し、「首相は拉致を使ってのし上がったのか」と質問した。
これに対し、首相は「その質問自体が、この問題を政治利用しているとしか思えない」と、努めて冷静に答弁した。
首相にとって拉致問題の全面解決は、父・晋太郎元外相の秘書時代から取り組んできた最重要課題だ。記者会見などでも「拉致問題は安倍政権で必ず解決する」と繰り返し述べ、強い意欲を持っている。
首相は14年に当時の小泉純一郎首相の訪朝に官房副長官として同行し、拉致被害者5人の帰国を実現させた立役者だ。そのことによって、政治家として全国的な知名度を得た。しかし何よりも、日本の主権を侵害する拉致行為に対峙(たいじ)することは、首相に限らず、すべての政治家が取り組むべき国益そのものの課題だ。
そうした問題を「政治利用」と矮小(わいしょう)化され、次第に我慢ならなくなったようだ。14年に帰国した拉致被害者5人を日本にとどめる判断をした経緯が議論になると、首相は身ぶり手ぶりも交え、熱弁を振るった。
首相はかねて、フェイスブックで「私は職を賭してでも『日本に残すべきだ』と判断し、小泉総理の了解をとり5人の被害者は日本に留まりました」などと自身の判断を説明してきた。
これに対し緒方氏は、本の中に、首相は5人が北朝鮮に戻るのを止めようとせず、5人が日本に残る意思を曲げないため結果的に日本に残るため尽力したとする趣旨の記述があることを紹介し、真偽をただした。
首相は「他の拉致被害者に聞いてもらえれば分かる。国論を二分しようという(北朝鮮の)策謀に引っかかってはだめだ」と反論。「私が言っていることが真実だとバッジをかけて言う。違っていたら私は国会議員を辞める」と断言した。首相は緒方氏に対し「独自の取材を全くせずに、私の名誉を傷つけようとしている。極めて不愉快だ。1人の本だけで誹謗中傷するのは、少し無責任だ」とも述べ、怒りが収まらない様子だった。
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緒方林太郎議員が質問者失格という理由は、確かめもせず持ち出した本をもとに、安倍首相の答弁に、「では、蓮池さんが嘘を言っているのか」と迫る手法である。これでは、蓮池本ならずとも、「便所の落書き」と評される三流新聞やゾッキ本を手に「こう本に書いてあったけど、どうなのよ?」と質問するようなものである。国会でこんな質問を許していいのかということだ。
民主党の焦りはわかる。政党支持率は直近の(NHK1月12日)数字では自民党37・5%。民主党8・1%である。夏の参院選挙までこの程度で推移するだろうし、衆参同時選挙ともなると大敗必至である。緒方林太郎議員は外交官試験(現在は廃止)を通って外務省に入った人物だそうだがこの程度では先が思いやられる。