モラルなきテレビ局の「焼き直し」報道

「週刊文春」編集部は22日、甘利明経済再生担当相の金銭授受疑惑を報じたテレビ番組「報道ステーション」(テレビ朝日系)が、同誌の記事を引用しながら雑誌名を明らかにしなかったとして、同番組に抗議文を送った。

「報道ステーション」は降番する予定の古舘伊知郎がまだキャスターを務めているが、1月20日と21日、「週刊文春」(1月28日号)の記事「甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した」を基に大臣の疑惑を報道したが、引用元を明らかにしなかった。同編集部は「報道に携わる者の倫理として、視聴者に正確な情報を伝えるという観点からも、引用先を明示することが求められる」などとして、謝罪と再発防止を要求。1月26日午後5時までに回答を求めている。

テレビ朝日広報部は「抗議文を受け取ったのは事実。対応については現在検討中です」としている。検討中も何もあるまい。即刻謝罪するのが普通だ。

ブログ子はワイドショーや、こうしたキャスターと称する者が跋扈する報道番組など見ないことにしている。マスコミの一翼にいた者として番組作りの手管は隅々まで知っている。モーニングショーやアフタヌーンショーという番組はその日の新聞の朝刊を見て作っている。新たな取材や「深堀り」(番組名にあるが)などあるわけがない。テレビの前のおばちゃんにわかりやすく、テロップや図版にして、それをもとにコメンテーターというのが当たりさわりのないコメントをまき散らしているだけである。

パリのテロ事件を前にして、古舘伊知郎は《一方でですね、有志連合の、アメリカの誤爆によって無辜の民が殺される(中略)これも反対側から見るとテロですよね》といい、「キャスターは批判的であるべきだ」とうそぶく。今では「報ステよりたちが悪い」と評される週末の「サンデーモーニング」(TBS系)のコメンテーターや「NEWS23」のアンカーを務める岸井成格のように「メディアとしても(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」とのたまう輩が出現する。新聞で署名入りで書くのならまだしも、公共の電波で叫んではいけないことも区別がつかない。

メディアのモラル崩壊を示すもう一つの例が「SMAP分裂騒ぎ」を報じた日刊スポーツ(朝日新聞系)、スポーツニッポン(毎日新聞系)である。それぞれ上で挙げた問題テレビ局と同じ系列だ。この問題は「週刊新潮」(1月21日号)が、「特集 解散への全内幕」と題して詳細に報じたスクープである。「新潮」の発売日は木曜日だが、新聞広告原稿は火曜日に各新聞社に持ち込まないといけない。これを見てから2紙は大急ぎで水曜日朝刊に「スクープ」として叩き込んだのだ。2紙ともネタ元の週刊新潮の名前などどこにもない。ニュースの出所をはっきりさせるのは新聞記者のイロハのイである。恥を知れと、週刊新潮がねじ込んでもよさそうなものだ。2紙ともぐうの音もでないであろう。

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