地図から「卍」マークが消える

2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、国土地理院は「外国人向け」の地図で使用する地図記号を新たに作ることを決めた。

同院によると、地図記号に世界的な基準はなく、日本人になじみのマークでも外国人は分かりづらい場合がある。在日大使館職員や留学生、外国人旅行者ら計1千人の意見も聞き、▽街中の案内板や標識で使われている「ピクトグラム」(絵文字)と一致させる▽地図上で3ミリ程度の小さなサイズでも表示できる――ことを原則とした。そして旅行に関係する18施設について外国人向けの新たな記号を作った。

名称未設定 1国内の地図でホテルは丸で囲んだ「H」で示すが、ヘリポートや病院と間違いやすく、ベッドに横たわる人の姿に変えた。観光地に多い寺院の地図記号は「卍」だが、ナチス・ドイツのマークを連想させるという意見が多数寄せられたため、三重の塔のデザインとした。交番は現在の警棒を2本交差させた「×」から敬礼する警察官、地図記号がないコンビニエンスストアはサンドイッチやペットボトルを模した記号にした。

新記号はあくまでも外国人向けで、日本人向けの地図では従来の記号を使う。また、多摩川を単なるローマ字表記ではなく「Tama River」と示すなど地形や種類を表す部分を英語に置き換える地名表記の基本ルールも作った。

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ブログ子の母方の実家は山形・米沢だが、ここの家紋は「卍」(まんじ)だった。生意気な学生のころ法事があり、集まった人たちの羽織にこの紋所があるのをみて「ヒトラーと一緒だ」と声にしたら一斉ににらまれた。その後学習したが「卍」の由来はインダス文明の頃にまで遡り、3000年もの聖なる歴史がある。英語では「スワスティカ」と呼ばれ、これはサンスクリット語の「スヴァスティカ」に由来し、「幸運」または「幸福」といった意味がある。「卍」はヒンドゥー教や仏教で吉兆を表すシンボルで武則天の長寿 2 年(693年)、「卍」を「萬」と読むことが定められた。吉祥万徳の集まる所の意味で、ゆえにお寺さんの紋に多く近くでは浅草寺の仏さんに胸にたくさんこの文字を見ることができる。

101105swastikas-「卍」は紋章では「左まんじ」と呼ばれるものだが、これを裏返した「右まんじ」という紋がある。ナチスドイツの「ハーケンクロイツ」(鉤十字)としばしば間違われるが、ナチスの方はこの「右まんじ」、さらに正確にいうなら右に傾けるので「丸に隅立て右卍」である。西欧でも吉兆のしるしとされている。

ブログ子は国土地理院が「あくまで外国人用表記で日本の地図では従来と同じといっているから、良しとするが、日本では「卍」変更案に反対する人もいる。

・「じゃあテロリストがユニオンジャックを掲げたら、イギリスも国旗を変えるの?」
・「観光客に 卍 の意味を教えたら?」

海外の人々は、どう思っているのだろうか? このことを報じた海外ニュースサイト『The Guardian』と『Mail Online』のコメント欄を見てみると、

「記号を変えるのではなく、観光客に違いを教えてあげた方がいいと思う」
「他の文化に触れるとき、それを変えようとするのではなく、学び、理解しようとすべき」
「地図上で 卍 を見ても、特に混乱はしないけど?」
「卍 とナチスのシンボルは、向きが逆だからね!」
「インドを訪れたとき 卍 が使われているのを見て、初めはビックリした。でも “違う意味があるんだろうな” ってすぐに思ったよ」

蛇足だが「卍」や「凸凹」の筆順はむずかしい。正確に書ける人はまずいないのではないか。「卍」の筆順はこうである。
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