新年からまたも幼児虐待事件が続いている。なかでも体が震えるほどの怒りを禁じえなかったのが、東京都大田区大森南のマンションで今年同棲を始めたばかりの女性の3歳の幼児を殴り殺した、永富直也(20)という男の残虐な所業である。
7日午前0時ごろ、東京都大田区大森南のマンションの一室で、「子供に熱があり、反応がない」と母親(22)から119番通報があった。消防が駆けつけたところ、この部屋に住む新井礼人(あやと)ちゃん(3)が布団の上で心肺停止状態で見つかり、病院に搬送されたが、間もなく死亡した。礼人ちゃんには全身に多数のあざがあり、警視庁大森署は同日、傷害容疑で母親と同居している無職、永富直也容疑者(20)を逮捕した。礼人ちゃんの死因は外因性の硬膜下血腫。搬送時は、顔面や尻などに数時間前から数日前についたとみられるあざがあり、左耳内部から出血していた。母親は当初、搬送後に診察した医師に対し、「公園の滑り台から落ちた」と説明したが、虐待の疑いがあるとして医師が同署に通報した。
永富は、住吉会系暴力団組員で「25日午後夕食中に自分にガンをつけてきたので頭にきた。平手打ちはしつけとしてやった」と供述しているという。
まともな人は「ガンをつける、などというヤー公用語などわからないだろうが、「相手の目を睨み付ける」ことである。関西では、メンチ切る、メンを切るいう言い方をある。三重県で新人記者時代、早朝ヤクザの逮捕劇に同行したことがあるが、ブログ子に「こいつ面を切りやがって」、アパートの2階で飛びかかられたが、意味が分からなかった。
それにしても3歳の幼児にガンを切ったと襲い掛かるこの男の頭の程度に吐き気を催す。あろうことか、礼人ちゃんを脅すのに包丁を床に突き刺して、正座させて殴っていた。さらに正座をさせて、かかとを振り下ろす「かかと落とし」をしたほか、投げ飛ばしもした。あえて禁忌語を使うがもう気違いである。身長195センチ、体重120キロという大男だそうだ。10年前にはこの体格を生かして空手の千葉県少年大会で優勝したことがる(写真右)。思うに体格のわりに勝つことができず挫折感からヤクザになったのだろう。
もう一件の幼児虐待事件もひどいものだ。埼玉県狭山市のマンションで藤本羽月(はづき)ちゃん(3)が顔にやけどを負った状態で死んでいるのが見つかった事件で、保護責任者遺棄容疑で1月14日逮捕された母親の彩香容疑者(22)と内縁の夫、大河原優樹容疑者(24)が、携帯電話の無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って羽月ちゃんへの虐待方法を相談するやりとりをしていた。
捜査関係者によると、両容疑者の携帯電話には「家に帰ったら(こういう虐待を)しよう」という趣旨のメッセージが残されていたという。目や鼻を含む顔全体をやけどしており2人が熱湯を浴びせた容疑が濃い。
◇ ◇ ◇
それにしても、各紙の新聞記者、特に社会部員は何をしているのか。事実を報じるだけではすまないはずだ。ブログ子のころはこうした悪質事犯の場合、罰則強化の立法化をはかったものだが、各紙一向にその動きがない。そのころの自民党はこうした地元での集票に役立たないことには動きが鈍いので、社会党や民社党を「使った」。まだ正義に立ち上がる心意気を持ち合わせていたものだ。いま民主党はじめ野党を見ると働きかけてもまず無駄だろうから、与党の方が動きがいいのではないか。
東名でトラックの無謀運転で愛児2人を焼き殺された母親の奮闘で悪質運転による事故には刑罰が強化された。今回はその母親たちが加害側なのだから頼りにならない。メディアが立ち上がらねばならない時だ。