キャスターよ「怒っている」のはこちらの方だ

高市早苗総務相が放送法4条違反を理由にテレビ局に「停波」を命じる可能性に言及したことについて、「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)の司会者田原総一朗氏や「ニュース23」(TBS系)のアンカー岸井成格氏らジャーナリスト6人が29日、東京都内で会見を開き、「私たちはこの一連の発言に驚き、そして怒っている」とする声明を発表した。

 会見したのはジャーナリストの青木理氏、大谷昭宏氏、鳥越俊太郎氏、「報道特集」(TBS系)キャスターの金平茂紀氏に田原氏、岸井氏を加えた6人。出席はしなかったが、「週刊ニュース新書」(テレビ東京系)で司会を務めるジャーナリストの田勢康弘氏も声明の呼びかけ人に参加している。

横断幕を広げる(左から)青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田原総一朗、鳥越俊太郎の各氏=2月29日午後、東京・内幸町

横断幕を広げる(左から)青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田原総一朗、鳥越俊太郎の各氏=2月29日午後、東京・内幸町


 声明では、高市氏の発言を放送法や憲法の精神に反するものだと批判。さらに、「現在のテレビ報道を取り巻く環境が著しく『息苦しさ』をましていないか」として、「自主規制、忖度(そんたく)、萎縮が放送現場の『内部から』広がることになっては、危機は一層深刻である」と訴えた。

 鳥越氏は「これは政治権力とメディアの戦争。政治権力側が一方的に攻勢を強め、メディアが後退している。ここまで露骨にメディアをチェックし、牽制(けんせい)してきた政権はなかった。下から変えていくしかない。声をあげましょう」と呼びかけた。

 また、3月で「ニュース23」のアンカーを降板する 岸井氏が昨年9月に番組で「(安全保障関連法案に)メディアとしても廃案に向けて声をずっとあげ続けるべきだ」と発言したことについて、保守系の学者らでつくる「放送法遵守(じゅんしゅ)を求める視聴者の会」が昨年11月、「放送法に対する違反行為だ」と批判する意見広告を産経新聞と読売新聞に出した。広告への感想を問われた岸井氏は「低俗だし、品性どころか知性のかけらもない。恥ずかしくないのか」と答えた。

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ならば云おう。最近の一部民放テレビの報道姿勢は世間をなめてかかっている。言い方を変えれば馬鹿にしていて、論理のすり替え、勝手に歪曲して恬として恥じない。

そもそも高市早苗総務大臣の発言は当たり前のことを言っただけだ。衆議院予算委で、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性について言及した。誰が判断するのかについては、「総務大臣が最終的に判断するということになる」と明言した。失言を誘い出そうと野党が繰り返ししつこく問いただした結果の答弁で、在任中はありえないと前置きしたうえで、放送法上、電波停止は総務大臣ができることになっている、法律にそう書いてあると当たり前のことを述べただけである。

なのにこのキャスター連中は「知性のかけらもない」「現場を委縮させる」「政治権力とメディアの戦争」と言いたい放題である。「私たちは怒っている」とは呆れた物言いで起こっているのはこっちの方のセリフである。

なかでも岸井成格氏は、昨年9月に「メデイアとしても安保法制の廃案向けて声を上げるべきだ」と発言した。明らかに政治的公平性を求められる放送法違反ではないのか。この発言に対し、作曲家のすぎやまこういち氏が代表呼びかけ人を務める「放送法遵守を求める視聴者の会」が、政治的公平を定めた放送法違反の疑いがあるとして岸井氏らに公開質問状を送ったが、岸井氏はだんまりを決め込み回答しなかった。そして、ちょこちょこと写真写りがいい場面に出てきて「低俗だし、品性どころか知性のかけらもない。恥ずかしくないのか」ときた。恥ずかしいのは岸井成格本人の方であろう

 一方、鳥越俊太郎氏「メディアが政権をチェックするのではなく、政権がメディアをチェックする時代になっている。そこから戦っていかなければいけない。戦いですよ。負けられない戦い。負けたら戦前のようになる。大本営発表のようになる」と宣う。ベトナム戦争当時から、米軍の安全な傘の下でホーチミン賛歌を垂れ流してきた御仁らしい発言である。

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