中国政府の「トイレ革命」はまずムリです

中国政府が、不衛生さで悪名の高い公衆便所を改善する「トイレ革命」に乗り出したという。

国営新華社通信によると、2017年までに全国計5万7000か所で公衆便所を新設・改築するほか、習近平国家主席の号令で、農村部での水洗トイレ導入を急ぐなど、世界第2位の経済大国にふさわしいトイレ環境を目指す。

仕切りや個室がなく、用を足している時に隣の人の顔が見える「ニーハオトイレ」や、親が路上で子供に排便させる光景など、中国のトイレ環境は長く、外国人観光客らにとって苦痛の種とされてきた。2008年の北京五輪開催を機にしたマナー向上運動などを通じて多少改善はされたが、衛生面はまだまだ。中国人海外旅行者の急増も反映し、ネットの書き込みには、日本や欧米と比較して、「我々はトイレ後進国だ」などの嘆き節が少なくない。

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真ん中に水が流れていてまたがって用を足す最新式

真ん中に水が流れていてまたがって用を足す最新式

中国人の衛生観念は常軌を逸している。10余年前に北京、上海、蘇州、大連を旅行した。最上級のホテルを選んだのはかろうじて水洗トイレがあるという理由からで、こうした主要都市でも一般のトイレときたら悲惨なものだ。万里の長城に出かけて八達嶺でやむにやまれず公衆便所に入ったら息をのんだ。溝にまたがる方式だが、紙や排便で汚し放題、壁にまでなすりつけてあって、まともに足を置く場所もない。仕切りもないので隣と尻を接しながら用をたすのだから、日本人ならずとも外国人は耐えられるものではない。

女性が笑っているが、これなど仕切りがあるだけまし。

女性が笑っているが、これなど仕切りがあるだけまし。

当時も大きな町では外国人の目を気にして改善されているという話だったが、三峡下りに出かけた女性から重慶のホテルのトイレのすさまじさを聞いた。板張りの大きなトイレに10人ほど並んで用をたすのだが、仕切りもなく、男性用では「金隠し」というのだが女性用では何というのか知らないが、前を隠すものもない。中国人は平気で音を立てていたそうだ。日本人の女性観光客はみな便秘になって帰国したという。

日本の中小ホテルではブームでドル箱であることが分かっていても中国人、韓国人お断りというところが出ている。備え付けの石鹸や髭剃りなどをアメニティグッズというが、もともと持ち帰り品だからよしとして、タオルや浴衣、ガウンはもちろんテレビまで持ち帰るのが多い。「みんなで汚さないように使う」という観念がないから、壁まで汚物で汚して帰る。とてもペイしない惨状だという。

爆買いに来て日本のウォッシュレットのトイレなど買いながら「我々はトイレ後進国だ」と気づいてくれるのは大した効用だが、奥地まで13億人の中国人を考えると、トイレ革命などまずムリであろう。

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