東京都の舛添要一知事が公用車を使い、ほぼ毎週末、温泉地として知られる神奈川県湯河原町の別荘に通っていたことを週刊文春にあばかれて記者会見を一日2度も開いて弁明に努めているが、その言い草がなってない。まるで「ボクやってないもん」というガキの屁理屈そのものである。
その前には共産党都議団が昨年10月27日から5泊7日の日程で舛添知事ら20人が2020年東京五輪・パラリンピックなどの視察としてロンドン・パリに出かけた経費5000万円で追及された。インターコンチネンタル・パリやコンラッドロンドン・セントジェームズなど一流ホテルのスイートルームに泊って5泊で約922万円。現地ガイドや通訳、車のレンタル費などの「賃借料など」に計約2417万円。などなど。
その言い訳がよくない「トップが二流のビジネスホテルに泊まりますか?恥ずかしいでしょう」というものだった。控えの応接室がついたスイートルームについても「急なお客さんがあれば応対しなければならないから」という弁明。全部事前に役人がアポを取り付けている旅程で、急なお客さんなどあるわけないだろうが、と突っ込みを入れたくなる。
石原慎太郎元知事も高額出張費で追及を受けたが、迫る朝日新聞記者に「ゲスな勘繰りをするでない」と一喝したものである。それほどの「貫目」がない舛添知事だけに湯河原別荘通いに公用車使っていた今回の問題でも、弁明これ務めるばかりだが、ことごとく反感を買うばかりの言辞を弄している。
末の別荘通いについて「まったく問題ない。(別荘には)オリンピック関連の資料もたくさんある。できるだけ、そこに行って(仕事を)やりたい。一番静かで仕事のできる場所。資料を読み込んで次の週の準備をするとかしていた。健康を保って、頭の整理をして都民のために働く態勢を整えるのも、知事として重要な役割だ」。
「全く問題ない」かどうか判断するのは税金を払っている都民であって、派手に使っている本人がいうセリフではなかろう。そこがこの人はわかっていない。
「公用車は『動く知事室』。移動中もしょっちゅう電話のやりとりをしている。運転手には守秘義務もあり、セキュリティーも確保されている。これはタクシーではできない」と述べ、別荘までの移動に公用車は不可欠との認識だが、都心の自宅には事務所の者が運転するクルマで帰ることが多いそうだ。なら行きもそうしたらどうか、と言われるに違いない。
笑ってしまうのは湯河原通いの目的の一つが風呂だという点。「東京都世田谷区の自宅の風呂が狭く、昨年4月の股関節の手術後、半身浴しかできない。私は東京でこの1年間、へそから下しか入ってない状況で、リハビリのためにも、週に1度くらいは(別荘の)広い風呂で脚を伸ばしたい」というのだ。
「へそから下しか」というセリフでこの人の「へそ下三寸」を思い起こした。都知事になったものの「へそ下」でミソをつけるのではないかというのが事情通の間では共通の見方だった。前妻、片山さつき議員と離婚したのもそれだし、現在の夫人は事務所の秘書だった女性である。都知事選のとき、演出で自宅のゴミ出しをしている姿がテレビによく出ていたが、そのとき階段の上の方にチラッと姿を見せていた人だ。その他両方の指で数えきれない「噂」がある。
だいたい「金と女」で失脚するものだが、前任は「金」だった。この人は「女」だろうというのが衆知のことだったが、韓国人学校に都有地貸し出し、高級ホテル泊まり、へそから下の別荘という「上もの」で適性を疑われている。異例のケースである。