♬」俺は村中で一番 モボだといわれた男
という歌があった。今風に、東京に当てはめれば、表題のようになろうか。セコい言い訳を繰り返す舛添要一都知事への批判は増すばかりである。
本人は弁舌さわやかに切り抜けたつもりなのだろう。昔から、人間は「一番得意な分野でつまづく」というとおり、三百代言風な言いざまには都民ならずともあきれ果てたようで、一連の釈明について「納得できる」と答えた人は6%で、「納得できない」と答えた人は89%(TBS系JNNの世論調査)である。
中でも、噴飯物の言い訳は、千葉県木更津市のホテルに約23万円、約13万円を会議費として収支報告書に記載した件である。週刊文春では2度とも会議は開かれておらず、家族旅行だったと文春は指摘した。
舛添氏は記者会見で2度の宿泊はいずれも家族旅行として予約したが、参院選や東京都知事選への対応なども事務所の関係者と協議したため、政治活動として処理したと説明した。そのホテルで開いたとする会議について、舛添氏は参加者数を聞かれたが「政治的な機微に関わる」として、明らかにしなかった。
正月に家族と宿泊しているホテルで「政治的な機微に関わる」会議とはあきれる言い訳で、読売新聞の社説で「会議の人数が『機微』か。参加者名はおろか、人数の説明すら拒むような対応は理解できない」と指弾された。
ネットではこれまでのセコい事例がぞくぞくと暴かれている。
一昨年11月21日の定例会見で舛添氏が参院議員だった平成23、24年、画廊やアートギャラリー、高級な美術書専門の古書店などから、政治資金で、掛け軸や版画などの美術品を多数購入していたことが発覚。報道陣から追及を受けた際の言い逃れはこうだ。
「政治活動の資料代として正当な活動なので、いちいち申し上げませんけれども、私は(政治資金で)バーとかキャバレーは行きませんから。そういう時間があったら、神田神保町へ行ったり、ネットで『国民のための資料』を一生懸命見つけて勉強してやろうと思っており、美術品は日仏交流の材料、一切問題ありません」
ほかにもクレヨンしんちゃんの漫画やクイズ本などを購入し、美術品と同様に「資料代」「書籍代」などの名目で経費処理。その金額は23、24年の2年分だけで計約907万円にも及ぶ。
これについても舛添氏は会見で、保護者から「子供がクイズばかりやって困っている」「子供が悪い言葉使いを真似てしまう」などの陳情を受け、内容確認のために買ったなどと説明。報道陣からは「美術品は資産価値が高い」などとする指摘を受けても「国民のための資料で、一切問題ない」などと取り合わず、政治資金での美術品の購入はその後も継続した。
一事が万事「こざかしい」のである。政治資金としての記載は義務付けられているが、使い道は明らかにするル必要がないという「ざる法」ゆえに、政治家の常のごとく政治資金収支報告の修正と返金で逃げ切れると考えてのことだろう。
セコい案件もさることながら、舛添要一知に批判が殺到しているのが「東京韓国学校」(新宿区若松町)の増設のため、旧都立市ヶ谷商業高校跡地(同区矢来町)を、韓国政府に有償で貸し出すこと決めたことである。
そもそもの発端は、舛添氏が訪韓した14年7月、ソウルで韓国の朴槿恵大統領と会談した際、朴氏から韓国人学校の用地確保への協力要請を受けた。すっかり外交官気取りで快諾したのだが、この土地は「保育所の整備に使われる」と思っていた周辺住民は激怒、日本や東京の未来を担う子供や母親よりも、隣国を重視するのかと猛烈な批判が出た。
舛添知事は会見で、ソウル市にある日本人学校が老朽化に伴い平成22年に移転した際、同市から用地売買のあっせんを受けたことを挙げ、「こちらもお世話になった。恩返しのためにやる」と発言したが、このエピソードは「インターネットで都職員が見つけた。(海外折衝を担当する都の)外務部を通じて、日本人学校に事実確認を行い、なんとか掘り起こした」(都庁関係者)というしろもの。つまり「後付け理屈」であることが分かった。作られた美談にさらに都民の怒りという二重苦となって、怒りの声が都庁に数千件殺到しているという。
小泉内閣で首席秘書官を務め、「政界の裏のウラまで知り尽くした男」と畏れられた飯島勲・元内閣参与(特命担当)は一連の会見を見て何点か、と聞かれて「100点満点でマイナス1億点である。あの会見を経て、都知事として職務を正常に遂行するのは不可能と言わざるを得ない」断言してその理由を挙げているが紙数がないのでここでは措く。
最後に紹介するのは、この男と3年間結婚生活を送った自民党所属の参院議員、片山さつき氏(57)が12日、フジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」でぶちかました舛添評。片山氏は1986年、当時東京大学助教授を務めていた舛添氏と見合い結婚も、3年後に離婚している。
「セコい、小さい、哀しい」。さらに、「セコいな、細かいところは全然変わってないな、という感想は持ちましたけどね。公というものに対する意識が全く欠けている」と断罪している。
「セコくて小さい男」と元妻が言うのだから、これほど正確な人物評はないだろう。