セコい舛添要一都知事への「辞めろ」コールはいまや奔流のようで、マンガにすれば激流の中で竿一本にしがみついている図式だ。その竿一本というのが、彼が雇ったヤメ検2人による「第三者の目で検証」した結果という「違法ではないが適切ではない」という文言だ。
使い道について何ら規制がない政治資金規正法だから、結果はハナから見えている。この「公正を装って」「己が都合のよい結論」を得るという手法を編み出したのは朝日新聞である。朝日が始めたそもそものきっかけは後述するが、「第三者委員会」のいい加減さを如実に示す事例は最近の判決にも見て取れる。
当事者の読売新聞にしか詳細な記事は出なかったが、「巨人契約金報道で朝日新聞に賠償命令」(6月9日)という東京高裁の判決の中で触れられている。
この裁判は、読売巨人軍の選手契約金に関する朝日新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、巨人軍が朝日新聞社に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(滝沢泉裁判長)は8日、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、名誉毀損の成立を認めて、朝日新聞社に計330万円の支払いを命じる巨入軍逆転勝訴の判決を言い渡した。
朝日新聞は2012年3月15日の朝刊I面トップで、巨人軍が1997~2004年度に6選手と、当時のプロ野球界の申し合わせを計27億円超過する計36億円の契約金で入団契約を結んでいたなどと報道。翌16日朝刊では、「臭いものにふた 続く不正」などの見出しで、巨入軍を非難する編集委員の署名記事も掲載した。
判決内容は、長くなるので省略するが、要するに、朝日記者が必要な裏付け取材を行わず、「巨入軍の契約はNPBの処分相当」という虚偽の事実に基づいて巨人批判を展開したものと断罪している。
朝日新聞が強弁する根拠なるものは、同紙が設けた第三者機関「報道と人権委員会」が、記事は問題ないとする「見解」を出したことで、、巨人軍が求めた被害救済も峻拒した。巨人軍は今後、誤報を追認した人権委の判断見解の見直しを求めるとしている。
第三者機関なるものが設置した側の「御用機関」になっていることが裁判で弾劾されているともいえる判決内容である。
朝日新聞が第三者機関、第三者委員会なるまやかしの手法を考え出したのは、慰安婦問題を取り上げたNHKの番組を「安倍晋三、中川昭一が改変させた」と、本田雅和記者が取材なし、証拠なしの記事を書いた。
非は明らかに朝日側にあったが、このときの、秋山耿太郎社長が考え出した奇手が「第三者委員会」である。「社外有識者の判断に委ねたい。事態を明らかにし、厳正に処分する」と朝日が選んだ委員はのち中国大使になる丹羽宇一郎や日弁連の憲法擁護派の長谷部恭男などの朝日好みの人間ばかり。
75日後に出た結論は朝日は廃刊しなくていい、秋山は続投していい。本田記者の取材が不十分だったが責を問うほどではないというもの。以後、誤報があるたびにあまたの「第三者委員会」を作ってはしのいできたのが朝日新聞である。
舛添都知事はそれをまねただけに過ぎない。 「批判を真摯に受け止め、第三者の目でしっかりと、厳しく公正に調査していただき・・・」「第三者」という言葉を口にしたのは45回、同様の趣旨の発言を含めれば50回以上である。