「平和」を唱えるのならば確固たる自衛手段を構築してからにせよ、というのは、悲しいかな世界の現実である。残念ながら日本にはお経のように「平和」を唱えていれば平和が保てるという人達がいる。そういう人はXマスにジングルベルを歌えばサンタがプレゼントを届けてくれると信じているのと同じレベルだ。
人権だ、個人情報だ、プライバシーだと言い募り、残酷なもの怖いものにはフタをして見ないでおこうとする風潮は年ごとに高まり、死体が写っている現場写真には覆いが掛けられて「一部ショッキングな映像があります」とあり、了解した人だけクリックするようなものもある。なんでも事実はそのまま報道するはずのメディアですらそうである。
ニュースからピンクまでなんでも(動画を含めて)報道しているオランダの「Biertijd」というブログを時々覗いている。「ビールのつまみ」とでもいおうか編集者がそのときこれだと思ったものがアトランダムに取り上げられる。その中に「今週の写真」として、目をつむることなく「現場」からの写真を取り上げているのだが、トルコでロシア大使が暗殺され、犯人の警官が遺体の横で銃を構えている写真の次に掲載されているのがこの一枚。
IS(イスラム国)に制圧されていたイラクのモスルに12月18日政府軍特殊部隊が突入して奪還した。モスルのアルバリッドでの写真と説明があるが、半分がれきに埋もれたIS兵士の遺体を足蹴にしながら警戒する政府軍兵士の後ろからのぞき込む子供たちである。そばにレーキがあるから埋葬しようとしたが穴が小さすぎて途中で放り投げたともみられるが、戦場に子供を含めた市民が混在しているのである。この政府軍はロシアが支援していて、近くにいる反政府軍はアメリガが支援している。ISと三つ巴の戦場の残酷な現場を平然と眺める子供たち。この子らが大きくなってまたどちらかの陣営に参加するのである。
難民となって押し寄せた先では同じ週に起きたドイツ・ベルリンのクリスマス市場へのテロのように憎悪の行為が繰り返される。ドン・キホーテのような日本の平和主義者たちはもう一度この写真を脳裏に焼き付けておくことだ。