中韓の「鼻持ちならない」トイレ文化

我が国が世界でもトップクラスの「トイレ先進国」であることは、来日した中国人が競ってトイレを買って帰ることを見てもわかる。2,3年前八ケ岳の我が山墅にオーストラリア大使館の公使がやってきた。山の上なので「貯蓄型」である。それで、大の時は少し下のホテルに行けと教えた。帰ってきてほめちぎることに「こんなすばらしいトイレはみたことない」。ウォーム、洗浄、流しがボタン一つで作動するごく普通のものだが、ないものが二つあったという。人影をセンサーで感知して近づくと便器の蓋が自動で上がること。男子用なのにイクメン用にか赤ん坊を座らせる椅子が壁についていてしかも親の顔が見られるようにこちら向きになっていたという。

別に驚くほどのことでもないと思っていたが、昨日、韓国発のニュースで来年の平昌五輪に向け、全国の高速道路のサービスエリア内の「韓国型トイレ」の改造にやっきになっているというのがあった。かねがね信じがたい文化だと思っていたが、とうとう気が付いたかと思った。

ソウルのオフィスビルにあるトイレ。すぐそばにむき出しで。

ソウルのオフィスビルにあるトイレ。すぐそばにむき出しで。

韓国では使用したトイレットペーパーを便器に流すのではなく、設置されたそばの「ごみ箱」に捨てる風習がある。「トイレットパーパーはごみ箱へ」と注意書きされていることもある。尻を拭き、汚物がこびり付いた紙をここに捨てろということだ。「ごみ箱」には蓋がないから座った側にむき出しで汚物が見える。

中央日報によると、トイレにごみ箱を置くのは「韓国独特の文化」だとしている。起源として、新聞紙や質が悪いちり紙を使用した際、便器が詰まるのを防ぐためにごみ箱を置いたのが始まり、とか、昔汲み取り業者が肥料として農家に売るときにいつまでも畑に残る紙類を嫌ったせいとか諸説あるが、確かなものは分からないようだ。韓国の下水は質が悪いちり紙が詰まるのかというとそんなことはなく、民間でそうした「伝説」があるだけだとも。

2012年4月にソウル市内の地下鉄駅でごみ箱を試験的に撤去したら「不便」という苦情が殺到し、2カ月で再設置に至った。さらに世界規模のコーヒーチェーン店、スターバックスでも、便器の横にごみ箱が置かれていたいうくらいれっきとした「韓国文化」である。

中国の女性用。これなど仕切りがあるだけまし。

中国の女性用。これなど仕切りがあるだけまし。

中国となるとさらに羞恥心がないという文化が加わる。山峡下りに出かけた知人の女性が「信じがたい」と言って帰国してきた。普通のホテルだったが朝行ったら腰を抜かすほど驚いた。広いところに穴が10数個空いているだけ。仕切りもなければ男性用でいう金隠しもない。中国人同士しゃがんで雑談しながら用を足していた。旅先こうしたところばかりですっかり便秘になってしまったという。

ブログ子も万里の長城を見に行って公衆便所に入った。真ん中に水が流れる溝があってこれをまたいで用を足す。一応仕切りはあるが上半身は互いに見える。驚いたのはここでしゃがんで「大」をする者がいるのである。中国では区別をしないのかと外に出て見たらちゃんと「大」専用があった。ホテルは日本と同じ水洗だったがわきにゴミ箱があった。開けてみたことはないが、あれは韓国式と同じだったかと、今頃思う。

ついでにもう一つの「鼻持ちならない」隣国、ロシアのダイナミックなトイレ文化を紹介しよう。ソ連だったころの話だが、自分の新聞社の企画として、真冬にシベリア鉄道でウラジオストックからモスクワまでの大陸横断の旅を紹介した。乗った同僚記者の原稿に「ロシア号」のトイレ事情があった。厳寒の下、トイレは使用ごとに凍り付き「黄金柱」が成長する。2日に一回ぐらい停車駅でハンマーを持った女性車掌が叩き割るとあった。「本当かい」と聞いたら、「嘘を書いたというのですか」と怒られた。

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