中央日報(韓国紙)は13日、同国大統領選に出馬意欲を見せている潘基文・前国連事務総長が、従軍慰安婦問題の日韓合意で日本が韓国に拠出した10億円をめぐり、ソウルの日本大使館前の少女像撤去が条件なら「(日本に)金を返してやらねばならない」と述べたと報じた。
潘氏は、12日に韓国に移動した飛行機内で同紙に「10億円が少女像の撤去と関連したものなら、日本がああだこうだ言っているが(合意は)間違ったものだ。それならいっそ金は返してやらねば。話にならない」と述べた。(共同)
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国連事務総長時代は朴槿恵大統領に近いのが「売り」で、与党セヌリ党から朴後継として大統領選への出馬をもくろんでいた。だから2015年12月の日韓合意を歓迎、評価していた。しかし、朴政権が「死に体」となるやこの変わり身である。盧政権の外相時代から「油うなぎ」のあだ名があり、思想信条より世論に左右される典型的なポピュリストである。事実、朴政権初期の対日強硬だった時期は自身も反日発言を行っていた。まるで「自分」というものがない。風見鶏よろしく世論を見ながら次々と変節していく。実に見下げ果てた男としかいいようがない。
日韓合意を歓迎、評価していた点を突かれると、かつての自身の発言を「合意に至ったことを歓迎したわけで、具体的に何がうまくいったのかを話したのではない」と平然と言い訳をする。もとは外交官出身で盧武鉉政権(2003~08年)下で外相を、その後10年間は国連事務総長を務めたのだから、外交・国際問題に精通しているはずで、日本公館前に慰安婦像を置くことが、外国公館の安寧と尊厳を守るように定めたウィーン条約に違反していることを知らない訳はない。
二階幹事長は10億円返還について、それなら貰う前に言うのが筋。貰ってから、アレコレ言うのはおかしい、とたしなめていたが、10億円を返したからと言って国と国の合意をご破算にできるというこの国独特の自己中心的発想が国際的に通じるものかどうか誰一人気づかない。統合失調症的なおか しな国だ。
潘基文は国連事務総長として最悪の評価だった。最も評価を下げたのは職務の中立性だ。日本はアメリカに次ぐ第2位の国連分担金供出国だが、それに比例する国連職員を出していない。日本の分まで多くの韓国人を縁故採用して顰蹙を買い、国連職員組合が批判文書を出したほどだ。
中立的立場であるはずの国連事務総長。なのに、ロシアのクリミア併合で国際社会がロシア批判を強めるなかで、モスクワでの「対独戦勝記念式典」に出席するは、さらに2015年9月3日中国北京での「抗日戦争勝利・世界ファシズム戦争勝利70周年記念式典」にも日本が抗議する中、朴槿恵大統領と並んで天安門上にまるで「戦勝国づら」して嬉々としてパレードを見学した。
国連事務総長は「後進国」(発展途上国)から選ばれる、こういう時は「後進国」で、経済その他では「先進国」を使い分ける韓国の節操のなさにもあきれるが、国が国なら個人もそうで、潘基文も二枚舌でやってきた。慰安婦問題でも朝日新聞の誤報をうのみにしたクマラスワミ報告書で「軍隊性奴隷制(military sexual slavery)」を修正するどころかユネスコを舞台にした「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録では朝鮮人労働者に強制労働があったと認めさせようとする画策まで黙認した。
一方で、国連事務総長が動かなくて誰の仕事かと言われる、核問題や難民問題への関与はまったくせず、ニューズウィーク誌に「その無能は際立っている」と非難されたほどだ。
潘基文前事務総長の弟とおいの親族2人が10日、ベトナムにある高層ビルの売却をめぐり賄賂を提供したなどとして、ニューヨークの連邦裁判所に起訴された。関与のほどはわからないが、これから金がらみの話も出てきそうである。
次の大統領選では4候補のいずれも朴槿恵政権を全面否定なのはわかるが、そろって反日である。「反日無罪」の国柄でそうでなければ勝てないというのも悲しいが、なかでも最も強硬なのは支持率一番の文在寅氏で、次いで李在明氏、さらに安哲秀氏、潘基文氏だ。どれが来てもろくでもない大統領だが、「潘基文」だけはまっぴらだ。