「習近平の笑顔」を初めて見た

ベトナムのダナンで習近平国家主席と安倍晋三首相が6回目の日中首脳会談を行ったが、その際の両首脳の握手の写真というのをみて、おやおやと思ったのはブログ子ばかりではなかろう。

初めて「習近平の笑顔」と国旗を掲載した人民日報

いくつかの新聞では「笑顔で握手」となっているが、笑顔というより「微笑」くらいのほころび顔にすぎないが、従来の仏頂面からすれば格段の進歩である。何しろ過去5回の会談では、会場の中央でふんぞり返っている習近平のもとに安倍首相が歩み寄ってくるというわざとらしい演出が主であった。日本流にお辞儀でもしようものなら頭を下げた瞬間を、中国流の「低頭」ないしは「朝貢」外交と見せかける意図が見え見えだった。さすがに安倍首相は意識してこれまでそうしたポーズを取らなかったが、中国国内のテレビでは安倍首相が「歩み寄る」ところを強調していた。

今回、中国共産党機関紙の人民日報は12日付の紙面で、日中両国の国旗を背に握手する写真を掲載した。過去の会談では国旗を載せなかったり、わざと握手ではない写真を使ったりして、他の首脳会談と扱いには差を付けていた。こうした人民日報掲載の写真の“正常化”は、習指導部の日本への関係改善への意思が反映しているという観測や論調がみられるが、ブログ子は甘い、とみる。

直前の中国共産党の新指導部が参加した25日の記者会見で、産経新聞が出席を拒否されたほか、英BBC放送や英誌エコノミスト、英紙フィナンシャル・タイムズ、英紙ガーディアン、米紙ニューヨーク・タイムズなども出席できなかった。また
全人代閉幕後の李克強首相の記者会見に産経新聞記者が日系メディアで唯一出席を拒否されたし、同紙の中国総局長へのビザ発給が昨年9月まで3年以上凍結された。中国高官の蓄財問題を報じた米紙ニューヨーク・タイムズや米通信社ブルームバーグも報道ビザの発給が拒否されている。中国が気に入らない外国メディアを規制するのは“常套手段”で、意に沿わないニュースを流したメディアの呼び出しはしょっちゅうである。

習近平国家主席は 「この会談は日中関係の新たなスタートとなる」と述べた。10月の中国共産党大会で2期目の指導体制を確立した習近平国家主席、衆院選に大勝し、第4次政権を発足させた安倍晋三首相、ともに政権基盤を強化したばかりで、このさき長い付き合いになるのを見越して習氏が「微笑戦術」に切り替えたというのが、日本の新聞の論調だが、はたしてそうだろうか。

来年に日中平和友好条約締結40周年を迎える。習政権はこれまで「反日」「反腐敗」を掲げてきただけに、早急な対話路線へ転換したとは思えない。そうならまずメディアの「選別」をなくすことだ。ついでに言えば、閣僚が靖国神社に参拝するたびに「三つの言葉で形容するしかない。恥知らずでくだらなく道理がない」などと叫ぶ中国外務省の華春瑩副報道局長も変えてもらいたいものだ。

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