「ろくでもない国」ジンバブエでやっとクーデター

このブログではアフリカのジンバブエという「ろくでもない国」について何度も書いてきた。

レストランで食事をすると箸をつけた時にテーブルに山積みの現金を積んでも出るときにはさらにもう一山の現金が必要になる「2億パーセント」という世界でも見たことがないハイパーインフレについて。ムカベ大統領は40歳も下の部下の将校の妻を見染めて後妻に差し出させ、その将校は功により中国大使に任命された。その女房、グレースというのがまたとんでもない悪妻でダイヤモンド鉱山の権利を独り占めして、パリなどの高級衣料店で札束を切っては遊び歩き「グッチ・グレース」の名をとどろかせ、追いすがるパパラッチをダイヤの指輪で切り付けて深手を負わせた。・・・思い出すだけで紙面がいっぱいになるほどだ。

ムガベ大統領(左)と次期副党首におさまった時のグレース夫人(右)。(2017年11月8日撮影)

 
南アフリカ政府は15日、ジンバブエのロバート・ムガベ大統領(93)が自宅軟禁下に置かれているとする声明を発表した。同日朝に南アのズマ大統領がムガベ氏と話した際に、ムガベ氏が自宅軟禁されていると示唆したものの、元気でいると語ったという。軍がクーデターをおこし軍が国家権限を掌握したとみられている。ムガベ氏の妻のグレース夫人(52)については、ナミビアに逃亡したとの情報や軍の監視下にあるとの情報が錯綜している。

「世界最悪の独裁者」の国では軍が37年間ムカベ大統領を支えてきた。盤石の独裁と見えた軍がなぜクーデターを起こしたのか。エマーソン・ムナンガグワ副大統領がムカベの後継者と目されていたが、なんとグレース夫人が次の大統領を目指し始めたのだという。女房に言いなりのムカベが副大統領を解任したことに、国軍トップのコンスタンチノ・チウェンガ司令官が反発、首都近郊で複数の軍装甲車を出して制圧したようだ。

ジンバブエ独立を率い、1980年から政権を握ってきたムガベ大統領に対し、軍が突然反旗を翻したことを受け、国民の間では圧政を敷いてきたムガベ政権が間もなく崩壊することを期待する声が上がっている。

しかし、これでジンバブエが自由の国になるかというと怪しい。この30年間で中国がこの国をしっかり傘下におさめていて政治も経済も中国なしでは動かないようになっているのだ。現に次期大統領目されていたムナンガグワ副大統領の身柄もいま中国の保護下にある。つまりクーデターがどうなろうとも次の指導者もまた中国のいいなりになるほかないようにできている。

複雑怪奇なジンバブエの歴史を説明する余裕がないが、どうして「ろくでもない国」になったという点をかいつまんで読み解くには「”世界最悪の独裁者”は生き延びられるか クーデタに揺れるジンバブエと中国の”二股戦術”」というコラムがあるのでお読みいただきたい。

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