広島高裁判事のイタチの最後っ屁判決

 再稼働済みの四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)に対し、広島高裁(野々上友之裁判長)は13日、先に申し立てを却下した3月の広島地裁決定を覆し、運転を差し止める決定をした。

その判決理由というのにあきれた。伊方原発から130キロの位置にある阿蘇山の巨大噴火の恐れだという。9万年前に起きた破局的噴火の規模が今後起きた場合、火砕流が到達する可能性は否定できないというのである。

発生確率が「日本の火山全体で1万年に1回程度」であっても、火砕流が豊後水道を超えて伊方原発届く可能性があるからダメという理屈はあまりに馬鹿ばかしい判断ではないか。高校で地学を学んだ程度の人でもこの非科学的発想にはあきれ返るであろう。野々上判事は今月で退官するそうだが、まさにイタチの最後っ屁である。

原発裁判でのおかしな判決は、過去に大津地裁の山本善彦裁判長が、山を越えた福井県にある高浜原発の3、4号機について万一の場合は滋賀県にも影響があるとして運転を差し止める仮処分を決定したことがある。こちらも退官直前の判事だった。この他にも地裁判断で運転差し止め判決が出たことがあるが、すべて高裁でひっくり返っている。ところが今度はその高裁でのおかしな判決である。判事たちの常識を疑わざるを得ない。

四国電は今後、高裁に異議申し立てする方針で、同じ広島高裁の別な判事が審議することになり「まともな」判決になることを信じたいが、今回の決定を覆す司法判断が出るまで運転は再開できないから影響は大きい。

あちこちの地裁に同様の裁判が起こされていて審議中だから、また変な判決が出る可能性がある。日本の原発については、本来、原子力安全行政の権限を持つ原子力規制委員会が厳格に定めている規制基準に添って是非を判断している。なのに、その原子力規制委員会の頭越しに、裁判所が原発の運転の是非をばらばらに判断していること自体が間違いなのである。

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