「韓国のイチゴ、おいしかった」 それは日本のイチゴです

「もぐもぐタイム」にイチゴをほおばるLS北見の女子選手

3位決定戦で英国を破り、日本カーリング史上初めてメダルを獲得した女子日本代表のLS北見のメンバー。「そだねー」など北海道弁のやり取りや、ハーフタイムに車座でフルーツを食べる「もぐもぐタイム」が有名になった。

セカンドの鈴木夕湖選手は「もぐもぐタイムで一番私が好きなのは、イチゴ。韓国のイチゴはびっくりするぐらいおいしくてお気に入りでした」と語った。

だがちょっと待て。誤解が広がりそうなのではっきりさせておかねばなるまい。彼女たちが食べたのは韓国産イチゴではなく日本のイチゴなのである。

昨年12月18日の読売新聞にも農林水産省とJETRO(日本貿易振興機構)が中国と韓国で販売されているイチゴなどの遺伝子分析から、日本のブランド農産物が持ち出されて自国産として売られている実態を把握したいきさつが記事になっている。
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日本で開発された農産物のブランド品種が海外で無断で栽培、販売されている事例が相次いでおり、農林水産省は対策を強化する。

日本では、野菜や果物の新品種を開発した場合、開発者は品種登録制度によって権利が保護され、ほかの人は勝手に栽培することはできない。しかし、品質が良く高値で売れるブランド品種などは、種子や苗が海外に持ち出され、無断で栽培や販売、輸出されるケースが多い。

例えば、国内外で高い人気を誇るブドウ「シャインマスカット」を開発した農業・食品産業技術総合研究機構は昨年7月、中国でシャインマスカットが無断で栽培されていることを確認した。

韓国でも、栃木県が開発したイチゴ「とちおとめ」が勝手に他の品種と交配され、「錦香(クムヒャン)」という新品種として出回り、香港などに輸出もされている。農水省によると、韓国産イチゴの9割以上は日本の品種を交配して生産されたものという。日本産より安い韓国産イチゴがアジア市場などに流通したことで、同省は日本のイチゴ業界が5年間で最大220億円分の輸出ができなかったと推計している。

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栃木県や茨城県などでは10数年前から、イチゴ栽培農家が厳重に管理している栽培用ビニールハウスに忍び込んで苗を盗み出す犯行が相次いでいて、日本で本格的にブランド品として売り出すころには韓国や中国で大々的に出回っていることが多い。品種改良や開発に巨額の費用がかかる。労せずして盗んだ新品種で商売するこれらの国は許されることではなく「韓国のイチゴはおいしかった」などと済ませられるものではないのだ。。

彼女たちが育った北海道のイチゴは原種のシロバナノヘビイチゴに近く、小粒で少し酸っぱい。首都圏などでみる大粒で甘いイチゴのイメージと違うものだ。販売も以前は客が小型スコップですくって買う「量り売り」だった。カーリングの女子選手たちは北海道のイチゴしか知らなかったのだろう。

おいしいのは当たりまえ、それは「とちおとめ」だったのだから。

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